照明装置のないグラウンドで、夕方いつまでフライがとれる?陽が沈むのが最も遅いのは、日本最西端、沖縄南西諸島。
季節は、今、夏至の頃。
そう、私の過ごした大分県の夏至の頃、
中学生の野球部だったけんじろう君が、
フライを取ろうと走り回っていた。
身体が小さく、レギュラーになれないものの、
先生が、カ~~ンと打ち上げる玉に反応して、走り回る。
打撃は、バットという重量が決まっている物質を、
振り回さなければならず、身体の大きさに左右される。
しかし、守備においては、グラブでボールを取るだけなので、
カンと、足の速さでカバーできる。
チームで一番小さなけんじろう君は、守備が大好きだった。
カ~~~ン!
夕空に打ち上げられた白い玉がよく見えた。
白い球は、まん丸に見えるのではない。
夕日を受けると、お日様の位置によって、
半月だの三日月だので空を飛んでくる。
サァ~と駆け寄って、バシリッと受ける。
クラブ顧問の先生のノックは、
夕方、陽が沈むギリギリまで続いた。
三日月はおろか、新月のような野球ボールが
空を飛んでくる。
私の大分県の夏至の頃、夕方が遅かった。
日が暮れても、ノックは続いた。
では、いつ、先生はノックをやめるのか?
カ~~~ン
選手が、空を見上げたままで、ポカ~ンとした時、
やっと、ノックが終わる。
アホ~アホ~
カラスもとっくに山に帰っている。
校舎の時計を見ると・・・
午後8時半――
晴れた日は、この時間が終了の時間だった。
当然、片付けを終え、家に帰ると、9時をおおきく超える。
その昔の甲子園の優勝校が南にシフトしていたのが、
うなづける。
練習時間が豊富にあったからだ。
ところで、けんじろう君は、球を取るところまでは、いいのだが、
返球となると、やはり玉の重さが、身体の小ささに反比例して、
外野からホームまで届かない。
だから――レギュラーになれなかった。

緋扇貝ひおうぎがいの貝殻