《アサギマダラ》蝶の名前だ。
浅葱(あさぎ)色とは、青緑色の古い言い方である。
アサギマダラは春に南の島から渡ってくる。
鳥が渡るのは分かるが、蝶も海を渡る。
何千キロという距離を空を飛んでくる。
この逞しさは、食事では、ちと変わっている。
好きな花の蜜しか吸わない。
毒のある花を好む。
アルカロイドという毒のある植物から、その毒を体に取り込み、
自らのを、「みんな食べないでネ」という体にしている。
アサギマダラは登山者には、喜ばれる。
高山植物の花を見ていると、そこに飛んできて、
彩りを添えてくれる。
先日、蔵王のお花畑の中にいた。
《コバイケイソウ》の薄緑色の大群落を眺めていると、
アサギマダラが飛んできた。
恰好のシャッターチャンス!
カメラを望遠にしてシャッターを押していたところ、
ふと、右肩の近くに何かいる。
すると・・・
40センチと離れていないコバケイソウの花に、
とまっているではないか!
望遠なんかいらない、触ろうと思えば、触れる所で、
その美しい羽根をパタパタさせている。
もう動けない。
一枚だけ写真を撮り、ジッと見つめていたのだった。
浅葱色の羽の部分は透きとおり、よくよく見れば、
反対側の景色が透けている。
マダラと名の付く動植物あまたいる中で、
秀でた美しさを見せつけている。
「アサギマダラを見る為に山に行く」という方すらおられる。
その気持ちが分からんでもない。
1000キロ以上も飛んできて、
ふたたび1000キロ以上飛んで帰ってゆく。
西から飛んでくるのは偏西風に乗ってこられるが、
帰りは逆風なので大変だゾ。
酷暑が嫌いな蝶は、奇妙な渡りを始めたものだ。
おかげで、夏の山の楽しみとなっている。

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