真夏の旅ロケは当然、暑い。冷房が効いているとか、滝のそばとか、海に飛び込むとか、
そういう楽なロケは、そうそうない。
畑の中、草いきれで蒸しかえっている場所が多い。
コンクリーの上にカゲロウが出ているような場所も歩く。
暑いのは仕方ない。
ところが、放送は一カ月ほど先になるケースが多く、
汗をかいている様子を見せたくない。
額に汗程度なら許されるが、
衣服が濡れて肌に張り付いているなどというのは、
もってのほかなのだ。
「汗をかかないか、かいても分からない服を着てください」
プロデューサーに指摘される。
「はい」
ハイと答える、はいゆうなのだ。
言われなくとも、シャツのインナーをこまめに変えている。
前日のビールを控えめにし、当日は、水分をほとんど摂らない。
「こまめな水分補給を」
テレビの忠告を無視する。
それでも、シャツに染みができる。
なんせ、天気予報では、「ここは37度だ」と棒をかざして、
アナウンサーが口をパクパクさせている。
昨日36度だと指摘された場所で実際、温度計で測ってみたら、
40度を超えていた。
「汗をかかないでください」
階段400段、ウンセウンセと上がっている最中に言われる。
畑の中で、収穫の手伝いでクワをふるっている最中に言われる。
仕方がないでは済まされない。
実際、汗をかかない人たちもいるのだから――
私のように、意味なく汗をかく人間は、
ロケに向いていないのかもしれない。
よし、着替えよう!
実は、同じシャツを複数用意している。
汗かき人間の用意は周到だ。
しかも、汗をかいても分からないような黒っぽいモノ。
ところが、黒いシャツは当然、ものすごく暑い。
よけい汗をかく条件を倍加させる。
さらに着替える。
着替えたシャツを天日に干し乾かす。
この繰り返しである。
努力はしました。
それでも、
「汗染みが目立つんですよネ~」
悪いのは、究極の晴れ男とか言っているアンタが、
無駄に太陽を照らしすぎるからなんだよネ~

藁のネズミ