サンフラワー号は、日本列島の東北地方の東側沿岸を、ひたすら北上する。
夜中に窓から外を見ると(進行方向の左側の部屋だったので)、
三陸海岸の灯りがポツポツ。
夜明けには、海岸の絶壁を陽の光が照らし出す。
やがて八戸沖を通り過ぎ、津軽海峡に入ってゆく。
左が青森下北半島、右が、北海道の連なり。
つまり、この海面下にホンマグロが回遊している。
大間の船は、こんな沖までやってこないが、
思いのほか広い海域である。
大きな船とは安心感がある。
揺れが小さい。
小刻みな揺れでなく、ゆったりとした揺れ。
横たわっている時は、さした揺れではないが、立って歩くと――
街で夕方から呑み始めて、4軒ほどハシゴし、
朝方になった時の歩きに似ている。
「もしもし」
お巡りさんがいたら、職務質問されそうな歩き方と言っていい。
この揺れには、二度寝したら、慣れた。
海峡では揺れが、やや大きくなったが、
パソコンのキーを叩いていた。
テレビは、時々フリースする。
BS放送はまともだが、地上波はやはり届きにくい。
ひと昔前のテレビを見ているような映像である。
すぐれているのは、館内放送である。
なるべく静かにしてあげよう、という心持ちが感じられる。
放送自体が少ない。夜早めに終わる。
音も小さい。
聞こうと耳を傾ければ聞こえるが、どうでもいいやと思えば、
聞こえずらい。
9時間以上静かな時間が続いた。
「船旅では、どうぞお休みください」という親切だろうか。
苫小牧着岸は、13時30分なので、寝坊オッケー。
二度寝許す。
館内、親子連れ、カップル多し。
我が部屋は2ベッドと、別に布団が2つ。
したがって、親子4人が楽しめる。
なんとなく動いているので、キャンピングカーに似ている。
おまけに、クーラーボックスから取り出した食事。
もちろん、夕食、朝食のバイキングもある。
たったの20時間で北海道!
もってけ泥棒!ならぬ、
乗ってけ、旅びと!