昨日、斜里岳に登る話をした。滝に近い、いや二度ほど滝の部分も登ることもあり、
興奮する登山となった。
ところが・・・
この日は風が強かった。峠に出た途端、風速が20mあった。
「測ったんかい?」
と問われると、「計測器は使ってない」と答える。
ウインドサーファーの私は、なぜか風速が分かる。
2m単位で風の強さが詠める。
実際、計測器で測ったことも何度かある。
「12m」
つぶやいてから、計測器で測ってみると、果たして、
「12m」
「18m」、これも、
「18m」
30年も風で遊んでいれば、体感的に分かるようになる。
海の上で分かるのではなく、山でも分かる。
風速が、15mから8mに突然おちるのも分かる。
次の瞬間に、12mに強まったりする。
ウインド用語で、《ガスティ》と言う。
試しに風の強い山中で、同じくウインドサーファーの滝田くんに、
風速を訊いた。
「いま、なんメートル?」
ふたりで、せ~ので、答えを喋った。
「16メートル!」
声が揃った。
彼は、40年ウインドをやっている。
我々は、風速22mの中、海の上を走ったこともある。
風に慣れていない人は、風を怖がる。
慣れてくると、ガスティがよめるので、怖くない。
山のどういう場所の風が強くなるのかが、よく分かる。
もっとも強い場所は、峠である。
鞍部といえば、分かりやすい。
標高が凹んでいる場所は風が集まりつよくなる。
なおかつ、峠は下から谷を、空気が駆けあがってくる。
当然、ほかの場所の数割強い風になる。
「一番強いのは山頂じゃないんですか?」
よく質問されるが、それは違う。
凹んでいる場所が強ければ、とびだしている場所は弱くなる。
とはいえ、樹木がなく剥き出しなので、それなりに強い。
この日の斜里岳は峠で、瞬間20mを越えていた。
(18mからが台風と呼ばれる)
頂上でも、15m。
ただし、気温が高く、寒くない。
頂上直下で汗をかいたティーシャツを着替え、
長そでのシャツだけで凌げたのである。
(長居はしなかったが)
これだけ風が強ければ、雲が同じスピードで飛んでゆく。
まわりが、真っ白になって展望がなくなった10秒後に、
はるか遠くの山が見えたりする。
オホーツク海の青さに驚いていると、ほんの数秒で、
なにも見えなくなる。
そして、下山中に面白い場所を見つけた。
《熊見峠》 くまみとうげ
峠なのに、そのあたりでは、最も高いピークだった。
ここで、下界がすべて見渡せたのだ。
見えるのは、《清里町》きよさとまち。
畑がパッチワークになっている。
おりしも麦畑の借り入れ時期と重なり、
麦色の畑と緑の畑が、美しいパッチワーク。
この町には、大きな看板が立っていた。
《日本で最も美しい町》
