
《オシンコシンの滝》
《羅臼岳》知床半島の中ほどにあり、日本百名山のひとつ。
ということで、日本中の登山者がやってくる。
アクセスは悪い。
みんなどうやってここまで来るのだろう?
疑問が湧くほど、果てなく遠い。
ハイエースを走らせていたら、観光地標識が現れた。
《オシンコシンの滝》
寄らいでか!
無料見学できるらしい。
駐車場から歩いてすぐ・・・
滝見物とは、日本中、けっこう歩かされることが多い。
ひと汗かいて涼しい風を受けながら滝を眺める――
というのが定番。
ところが、この滝は、序曲もなく、イントロもなく、
いきなりファンファーレが鳴り響く。
ティンパニもドラも打ちまくる。
それでいて、ハープの流れるようなメロディが聞こえてくる。
知床という半島ならでは、なのかもしれない。
ノルウエーのフィヨルドほどではないが、
山脈からいきなり、海のそばに落下する滝。
よし、滝を見た。
いざ、山へ!
っと、車を走らせていると、看板が・・・
《知床五湖》
名前を聞いただけで、《いつつの湖》があるのが分かる。
行かいでか!
すぐに着いた。
すぐに歩き出した。
木道を小一時間歩いた。
っと、目の前のすさまじいスピードで、なにかが飛びすさった。
次々に飛びすさる。
《アマツバメ》
僕らが知っているツバメより二回りほど大きく、スピードも速い。
なんでも彼らの持久力はすさまじく、
何時間でも飛んでいられるのだそうだ。
数日間飛び続けていたという記録すらある。
たしかに、彼らにとって青春の季節の短い知床の地で、
一秒でも動いていたい気持ちは分からんでもない。
にしても、あまりにも速すぎて、カメラで速撮したものの、
ついていけない。
アマツバメの光跡の背後には、
いくつものピークのある山脈が連なっている。
その最も右側にスックと姿勢の良いのが、羅臼岳らしい。
さらに180度首をふれば、知床の蒼い海。
北海道の北東のはしで、小指を立てたような知床半島。
いやがおうでも、明日の羅臼岳登山を盛り上げてくれる。
斜里岳登山から、中一日、
登らいでか!

知床五胡から羅臼岳(右端)をのぞむ