なんともなまめかしいポーズをとっているのは、《縞鯵のシマアジ》である。
鯛のタイと同じ部位をそう呼んでいる。
魚の肩甲骨の骨をさしている。
つまり、冒頭の写真の下半分の箇所は、
魚の胸ビレである。
一匹のシマアジから、二つの肩甲骨がとれる。
シマアジを一匹買いして、さばいてゆくと、結果、
この骨に行き当たる。
「一匹買いは高い」とお嘆きの方には、ほかの手がある。
シマアジの刺身を売っている店には、そのアラも売っている。
アラを買い求める人は少ないので、安い。
300円未満で頭とカマが手に入る。
最も旨い部分なので、むしろ刺身を諦めて、コッチを手に入れよう。
台所で、水洗いし、ウロコを丁寧にとる。
塩をして、30分ほどねかす。
それを蒸し器に入れ、日本酒をかけて、12分。
はい出来上がり!
実に簡単。
カマの部分を食べている時に、胸ビレを見つけたら、
丁寧に身をほぐし、あらかた食べ終わってから、
胸ビレと骨をもって、台所に行き、歯ブラシでそっとこすってみよう。
すると、冒頭のモノができあがる。
もちろん、ほとんどの魚にこの骨があり、
みんな同じ要領で、ヒレ付き骨の作品となる。
あとは、どう飾るか?
透明マニキュアを塗るのも手である。
何もしないで置いておくと茶色に変色し、
いかにも残念な化石となる。
私の手元にも、《残念》が、数十個、箱に詰められており、
残念の作者も、捨てきれずにおおいに残念がっている。
では、その作者はなぜ、なにもしないでホオッておいたのか?
食べた美味しさにかまけて、気が回らなかったのである。
「ま、そのうちネ」
そのうち放置によって、茶色の残骸が、
遺跡の化石のように溜まってしまった。
どうかアナタはエナメルなり、蛍光スプレーなり、
さまざまな色をつけて楽しんでくださいまし――

シマアジの刺身