飛行機で空を飛ぶ。羽田から西に向かう。
偏西風に、はむかって進むので、強烈な向かい風を受ける。
「スピードが出ません」
機長がアナウンスしている。
燃料も食う。
基本的に雲の上を飛んでいる。
12000m地上から離れている。
紀伊半島を過ぎると、瀬戸内海を左の窓から見るようになる。
淡路島がすべてをさらけ出してくれる。
なんどか淡路島を巡ったり、山に登ったりしているので、
小さな湾や、橋などの位置関係がはっきり分かる。
その昔、ゼロ戦が空にいた時代、かのプロペラ機では、
この高度を飛ぶことはできなかった。
(無理すれば飛べたらしい)
とすると、我々が見ている空からの景色は、
ほとんど宇宙からの眺めに近いと言えよう。
とはいえ、雲はまだ、このあたりにも浮かんでいる。
昨日、前線の話をした際、
8000mの高度にある雲の影が、
6000mの高度の綿雲に映っている様子を示した。
さらに・・・(冒頭写真の)
はるか遠くに壁のように写っているのは、前線上の厚い雲。
30歳代まで、《空を飛ぶ夢》を見ていたのだが、
この高度までは、あがって来られなかった。
最も高くて、1000mまでだった。
しかもズルいことに、プロペラ機のエンジンを使って、
あがって来ている。
つまり、飛行機のようなモノを操って上昇したり、
下降したりしていた。
それ以上の高度まで上がれなかったのは、
私個人の想像力の弱さだった。
おまけにどこに着陸するかばかり考えていた。
《夢》の話ほど馬鹿らしいモノはないのだが、
空を飛ぶ夢は、それなりに素敵である。
現実に空を飛んでいるのだから、その高揚感はすさまじい。
《夢》とは気づかずに、
「おお~空を飛んでるぅ~ボクは飛べるんだぁ~!」
毎回、感動している。
そして目覚めてから、がっかりするのかと思えば、
そうでもない。
飛んだ感覚は残っているので、興奮はゆるぎない。
だからと言って、
「ねぇねぇ聞いてくれるぅ?」
と話すことはない。
自分ひとりで悦にいっているだけ。
今、ここで喋っているのは、稀有な発表だと信じてくだされ・・・

淡路島