
《羅臼岳 クマ用フードロッカー》
登山宿泊者は食べ物をこれに入れて眠る
「クマに遭ったらどうする?」
一応、知識は学んでいる。
・走って逃げない。
・木にも登らない。
・急に動かない。
そして、二つに意見が分かれるのが、コレ。
A:目を離さない。
B:知らんぷりする。
Aは、「人間様は強いんだゾ」と言い聞かせようとしている。
Bは、「人間は敵ではないんだゾ」と、知らせようとしている。
どちらが正解なのか・・・意見は正反対に分かれる。
どちらの意見の人も、ケースバイケースだと、お互いを認めている。
昔から伝わっている、《死んだふり》は、
Bに属する考え方に近い。
近いが、それで、
クマが関心を失い上手く行ったケースと、
クマが、とりあえず引っ掻いて去っていったケースに分かれる。
となると、
同じBでも、積極的なBの方が良いような気もする。
つまり、知らんぷり――
知らんぷりさんの、心の中を喋ってみると、
「クマさんなんか、知らんもんネ、アンタはアンタの道を行きな、
こっちはこっちの道を行くのでネ、いまおいらは、
秋の紅葉を楽しんでいる最中でネ、アンタに関心ないんでネ」
知らんぷりと言っても、ここで、紅葉を撮る為にカメラを出したり、
両手をあげてアクビをしたりと、クマにとって奇妙な動きをすれば、
「おっ、やる気か!」
ってなことになる可能性がある。
動くのが許されるのは、腰に吊るしてある、
《クマよけスプレー》をゆっくり手に取るくらいだろう。
(えっ、持ってきていない?)
その場合は、突っ立っているのが良い・・・と言われている。
ときおり、新聞などで、熊と戦って勝った人のお話しが流れる。
「空手でやっつけた」
「巴投げで投げたら、逃げて行った」
「大声で威嚇したら、逃げた」
冒頭の、Aのやり方だ。
これらは、いかにも勇ましくマネしたくなるが、
実際には、できるだろうか?
少なくとも私には、できそうもない。
相手のクマのオスメス、年齢などにも左右されるようだ。
一般的には、子供連れの母親は、危ない。
若いオスは危ない。
種によっても異なり、
本州に生息する、ツキノワグマは危ない。
北海道のヒグマは、比較的おとなしい。
やはり、ケースバイケースである。
だから、未然に防ごうと熊鈴を鳴らしながら歩いている。
とはいえ、山に詳しい人達は口をそろえて、おっしゃる。
「熊鈴にクマが慣れてしまって、あまり効果がない」
あまり効果が、と言っているのだから、
それなりの効果がある、ともとれる。
効果の事を言えば、
人数が多いほど、クマに遭遇した時は有利である。
単独だと、クマもなめてかかるが、複数だとビビるのは当然だろう。
カツアゲが複数で行われる事をかんがみれば、
クマの心境も推し量れるかもしれない。
(クマさん、ぼくらがゾロゾロと山の中を歩いているのは、
アナタのカツアゲの為ではありませんからネ)

昭和新山 クマ牧場の人気者