将棋対局のワンシーンである。先手(手前右)の駒台(こまだい)の上を見てほしい。
歩ばかりが、9枚置いてある。
つまり相手から、ぶん取った。
さらに将棋盤上の先手の駒を見てみると、7枚が残っている。
という事は、16枚の歩が先手のふところにある。
歩は全部で18枚なのだから、ほぼ殆ど独占している。
先手の人が特に歩が好きという訳ではなく、
お互い手を尽くしていたら、こうなった。
将棋は時に、不思議な形をみせてくれる。
以前、駒台に金が4枚乗っている図を紹介した。
香車(きょうしゃ)4枚の時も紹介した。
王様を取られないように、天才ふたりが脳みそを駆使していると、
駒が極端に偏るという現象がおこる。
さて、
《プロ棋士編入試験》 という制度がある。
アマチュアの中でとび抜けて優秀な人に、
プロになるチャンスを与える制度である。
これまで、4人のアマチュアが試験に合格してプロになった。
この制度に女性棋士が初めてチャレンジしたのである。
実は、プロ将棋界は男女の区別はないのだが、
いまだ女性棋士のプロはいない。
プロになる為の奨励会という男女平等の制度には、挑んでいるものの、
通過した人がいなかった。
その為、女性だけの棋戦がいくつもつくり、女性だけで競っている。
そこで、今年、女性棋士として5冠王の、
《里見香奈》さんがプロになるべく、編入試験を受けたのである。
ルールは、若手男性棋士(プロ)5人と戦って勝ちこせば、合格。
若手といっても、精鋭ぞろい。
むしろ若手の方が強いかもしれない。
結果、3敗して、無念の不合格となった。
彼女が中学生の時から応援していたので、とても残念だった。
つまり、いまだ女性棋士は誕生していない。
一方、囲碁の世界は女性棋士だらけである。
将棋と囲碁の違いは何だろうか?
ちなみに、我らが《魅せる棋士 中川大輔八段》は、
NHK将棋対局で勝ち進んでいる。
前回の対局では、珍しい《駒柱(こまばしら)》をわざと立ててくれた。
今度勝てば、その次に、今をときめく最強の棋士、
藤井聡太五冠とあたる。
中川氏の華麗な駒の舞を、ふたたび見てみたい。

大分 杵築市 大原廷縁側にて