
《久里浜の朝陽》
東京湾には、フェリーが就航している。神奈川県の三浦半島の《久里浜(くりはま)》から、
千葉県の房総半島の《金谷(かなや》》へ。
30分ほどの船旅だ。
東京湾を渡るには、海の下を走る高速道路もある。
海ほたるが有名で、いつも渋滞するなど人気だ。
それに対し、昔から渡しの船は頼られている。
フェリーであるが、人だけも当然乗せる。
意外と、人だけの乗船も多い。
釣り道具を載せて、三浦半島から千葉まで、
遠征釣りに向かっている人たちがいる。
その逆も当然ある。
どちらの半島も魚釣りとしては、恵まれた環境なのだが、
「♪~アッチのみぃ~ずは旨いゾ~♪」
てなものだろうか・・・わざわざ対岸に向かっている。
そういえば、さほど大きくない川で魚釣りをしていると、
釣り糸を対岸近くまで投げている人がいる。
そして反対側にの人は、こちら側に投げている。
つまり、自分の近くより遠くの方が魚がいそうな気がするらしい。
同じ旅行をするなら、なるべく遠くに行きたがる心境と、
似ているかもしれない。
朝方のフェリーは朝焼けが、
夕方のフェリーは夕焼けが、
船に覆いかぶさらんばかりに輝く。
パシャパシャとシャッターを押してる私の横で、
本日の釣果に、手振り身振りの自慢話しで賑わっている。
両手の人差し指を肩の広さほど広げて目をまん丸くしているのは、
大鯛だろうか・・・
おそらく指の幅を7割ほど縮めたほうが良さそうな自慢だ。
胸の前で右手を縦にグルグル回しているのは、
「リールが巻けなかったヨ!」
それくらい魚が大きかったと鼻をつきだしている。
どうやら、彼らは、フェリー乗り場まで自転車で来たようだ。
とすると、向こう側で、釣り場までどうやって行ったのだろう?
バス?タクシー?
話しをなんとなく耳にしていると、どうやら、
アッチ側にいる友人が迎えに来て、さらには送ってくれたらしい。
東京湾の両側における、釣り仲間の交流があるとみた。
「では、次はコッチで」
なんてことになるのだろうか?
今夜は、それぞれのウチで刺身の祝杯となるのだろう。

金谷の夕陽