
やってはいけない
イタズラそれは、大学に入ったばかりの時に起ってしまった。
アパートの隣の部屋の友人の所に、3人の大学生が
遊びに来るという。
仮に隣の友人の名前を{木村伊量}と呼ぼう。
(仮の割りには具体的だな)
イシマルと木村はイタズラ好きである。
その3人を
騙そうという事になった。
<
イシマルをインドネシア人>という事にしたのだ。
(インドネシア語なんて誰も知らないだろうし)
さっそく3人がやってきた。
「始めまして、
早稲田の○○です。」
「
外語の△△です。」
「
東京の××です。」
(東京ってナンだろう?)
木村『彼は、インドネシアの留学生で、イシュマエル、ケニロ君
和名、いしまる けんじろう』
イシマル「パパロー(こんにちは)」
3人「何て言ったの?」
てな具合に事は進んだ。
イシマル「エペタバータ、スニョー?」
木村「これ、食べるか?と聞いてる」
部屋に
イチゴがあった。
そのイチゴを
足の指で摘んで、ヒョイと口に入れた。
(当時、身体が柔らかかった)
3人が目をまん丸くして見ている。
イシマル調子に乗った。
さらにヒョイと足で掴み、グチッとつぶしてから口に入れた。
早稲田「やっぱり、インド系だから、
左足は使わないのかな?」
イシマルさらに調子に乗った。
バフッと
屁をこいた。
両手でこいた
屁を押し包み、鼻に持っていき、
クンクンした。
眉間にシワを寄せたりした。
目を泳がせたりした。
東京「体調とか、解かるのかな?」
包んだ両手を{東京}の顔の前に、差し出し、
『
ブブビビカー(君も吸うか?)』
イシマルと木村、この日だけで終るつもりだった。
しかし、彼らは、一週間後もやってきた。
イシマル「チャラビー(こんにちわ)」
外語「あれ?この間{こんにちは}は{パパロー}じゃなかった?」
考えてみると、外語大学に入るという事は、
言葉の
スペシャリストである。
先週喋った、インチキインドネシア語などすべて
覚えてしまっている。
ドキッ!
すぐにイシマル、
ノートを手にした。
日本語を覚える振りをして、自分が喋る
即興インチキインドネシア語を、
書き取り始めた。
さあ、大変!
それから、何故か、彼らが我がアパートに
頻繁に来る様になった。
<屁の儀式>が気に入ったのだろうか。
えらい事になった。
イシマル、ただでさえ、外国語が
不得意である。
<辞書>という英語を思い出すのに、
「ハックション」 「ックショナり」 「ディクショナリー」
とわざわざ言わなければならない程だ。
なのに、
自分が言ったデタラメな単語を覚えなければならない。
ノートのページがどんどん増えていく。
しかも、この単語を覚えても、
将来、何の役にも立たない。
世の役にも立たない。
全く立たない。
何という無駄な努力。
非生産的なあがき。
皆さん、人をダマしてはいけません。
ちょっと軽い気持ちでダマしてもいけません。
もし、ダマした時は
すぐに、謝りましょ。
~~~
その後どうなったかって?
・・・そういえば、どうなったんだろう?
{
外語}が「インドネシア人があんなに頑張っているんだから
オレも頑張るんだあ・・」と言って、中近東に旅立って行ったのは
覚えているけど。