なんという失態――
昨日、大分から飛行機で帰ってきた。
空港で、荷物を預け、身軽であった。
実は、昨日の夜中に、サッカーワールドカップの決勝戦があった。
テレビ録画している私は、
帰ってからそれを観るのを楽しみにしていた。
出来ることなら、結果を知らないで、観たい。
うまいことに、近くにいる人たちが、誰も話題にしなかった。
世の中の電光掲示板にも気を付けた。
難しいのは、飛行機の中だ。
しかし、コロナの為、皆が口を開かない。
羽田に着いた。
バス移動でも、誰もしゃべらない。
バスが着いた。
顔を伏せ、ありとあらゆる電光掲示を見ないようにし、
両手で耳をふさぐ様に、身をこごめて、ひたすら足早に、
駐車場に向かう。
やがて、車に乗り込む。
エンジンをかけるや、真っ先にラジオを消す。
よし、これで完璧!
しかして、我が家に帰り着いた。
やった!あとは、録画を観るだけだ。
さて、決勝は、どういうゲームになったのか!
ん・・・?
なんかスマホがブ~ンブ~ン言ってる。
見たことのない電話番号。
歴を見ると、なんどもかかっている。
出てみた。
「羽田空港の〇〇でございます」
なんだろう?
話を聞いて、驚きを通り越して、あきれてしまった。
私は、大分空港で預けた大きなバッグを羽田でピックアップせずに、
帰ったのである。
両手で耳をふさぎ、見ざる聞かざるに集中するあまり、
何も持たずに、クルマに乗り込んだらしい。
手ぶらになんの疑問も湧かなかったらしい。
パソコンだのお土産だの、全部の荷物より、
《メッシとエンバペの戦い》の方が大切だったらしい。
で、次の日、意味なく羽田に舞い戻ったのであった。
読み終わったアナタは、画面を指さして、言っていただきたい。
「バッカじゃないの!」
大分県、杵築市の城下町 右上にある坂道の上のお屋敷に住んでいた。
《大原邸」 今は300円払います。