暑いと寒いをどう考えるか?私の場合、極端な体感温の乱高下がおこる。
人間という動物は、《恒温動物》と言われる。
どんな時でも、体温を一定に保つ。
いまは亡き名優渡瀬恒彦さんの名前のよみで分かるように、
恒(つね)に温度が一定ということで、《恒温》。
私も人間なら同じハズ。
ところが――
冬山で、マイナスの気温の中、着ている服は、
長そでティシャツ一枚。
これは、夏登山と同じ服装だ。
ただし、風がある時や、雪が降っている時だけ上に、
レインウエアを着る。
周りを見回すと皆は、フリースだの、ダウンだのを着ている。
この差は、何だろうか?
マイナスの気温の中、ティシャツ一枚で歩きだすのだが、
5分歩かないうちに、背中に汗をかいているのが分かる。
10分もたつと、首から胸にかけてじっとり濡れている。
30分後には、ビショビショ。
山では、よほどの事がなければ着替えはしない。
着たまま、自分の体温で乾かしてゆく。
いったん脱いだ濡れた服は、もう乾かせなくなる。
みんなそうやって着たまま乾かせる。
私の場合も、乾かせるのだが、なんせ、乾くはしから、
汗という水分が供給される。
小一時間もたつと、ティシャツはおろか、ズボンにまで、
水分が溜まることになる。
これは夏山ならいざしらず、冬山では、やっかいだ。
風邪をひく原因になる。
凍死の要素の危惧も浮かぶ。
しかし――
同じ人間が、夜眠るといった風に、全く動かなくなると、
ものすごく寒い人になる。
身体の動きを止めた途端、ブルブル震えだす。
もちろん濡れた服は着替えているのだが、
寒くてたまらない。
「熱い暑いあつい!」と騒いでいた同じ人間とは思えない。
恒温はどこへいったのだ!
ひょっとすると、体脂肪が少ないのか?
いやいや、10年以上前ならいざしらず、
しっかり脂肪を蓄えた腹をつまんでみると、
体脂肪率は、20を超えている。
こういう人は、普段でも着るモノがむつかしい。
たとえば、電車の中で、周りの人たちがダウンウエアで、
ミシュランのタイヤの宣伝人形のようになっているのに、
隣りで吊革を握っている私は、ティシャツ一枚である。
一応ダウンウエアは、ジッとしなければならない時の為に、
2種類(厚薄)、カバンにしのばせてはいる。
登山では、服を着たり脱いだりと、重ね着の原則がある。
そうやって、体温調節をしましょうという訳だ。
私の場合は、都会での脱ぎ着が忙しい。
対し、山の中では、もう脱ぐものがない。
なのに、ジッとすると、人より格段の寒がりとなる。
《熱しやすく、冷めやすい》典型のからだで生きている。