「どうして山に登るのですか?」 この問いに、時折こう答える。
「とんでもない夕焼けを観るためです」
山の中では、時折とんでもない夕焼けにであう。
麓と同じではない。
標高という高さは、地平線をはるか彼方にし、
空気を分厚くして、空の焼き方が違う。
何と言っても、《遠く》まで見えるというのは、
夕焼けの迫力を増させる。
山の上とは、日本アルプスなどでは、3000mクラス。
ところがもっと高い場所で観る夕焼けがある。
飛行機の窓。
飛行機では、必ず端っこの窓側の席を予約する。
特に、夕方空の人となる時は、どんなに疲れていても、
眠らない。
《山猫は眠らない》が《渡り鳥も眠らない》
(なんの話や)
刻々と染まってゆく蒼穹の雲に惹かれ、窓にへばりつく。
デジカメをかまえる。
飛行機の窓の透明な(ガラスではない)モノは、
機内の光を反射する。
すると、撮影時にカメラそのものも写したりする。
そこで、カメラ(スマホ)を黒っぽい布でおおう。
反射光が入らないようにする。
パシャリッ
っとやって、いったんカメラをしまう。
しかし、飛行機は速い。
夕暮れ時、東に向かって飛んでいた。
地球の自転に逆らっている。
すると、地上で観る夕焼けの進むスピードの数倍で、
夕焼けが展開してゆく。
あれよあれよ~
パシャッパシャッパシャッ
デジカメ内のSDカードは真っ赤に染まってゆく。
「高度3800mだ」と、機内テレビ画面で読みとった。
ほぼ富士山の山頂ほどで、この夕焼けがみられる。
20枚ほど撮った写真の中から、本日は2枚を選んだ。
翼の切り取りに惹かれた。