北八ヶ岳の天狗岳の山腹にある山小屋。《黒百合ヒュッテ》 標高2400m
山小屋の経営としては、3代目となっている。
二代目の方が、米川正利(よねかわまさとし)さん。
面白いことを様々考え付き、実行した方で、ご自分で、
その話を本にしたため、出版されている。
その中に、ピアノの話しが出てくる。
ご自分が聞きたいのと、コンサートをやりたいとの想いで、
里からヘリコプターで、200キロのアップライトピアノを持ち上げた。
その後、山小屋コンサートなどを、年に何度も開催している。
現在は、息子の岳樹(たけき)さんが、引き継いで、
さらに面白い山小屋に育てている。
コロナの期間に改築を重ね、もうすぐリニューアル完成となる予定。
ピアノのコンサートでは、ピアニストの斎藤美香さんが、
ザック担いで登り、演奏をしている。
彼女は、登山大好きな好奇心あふれる方で、山中のピアノへの、
惹かれ方も秀でている。
黒百合ヒュッテのピアノの音を、「かわいい」と表現する。
一曲しか弾けない私には、その表現がとても新鮮なのだが、
どうやら、そう感じるらしい。
彼女の山小屋コンサートも聞いてみたいものだ。
こればかりは、現場で聴かなければ味わいが違いすぎる。
木造りの山小屋という、まるでステレオのスピーカの内部の様な、
中での演奏は、穏やかな音色に変えてくれる。
しかも、空気が薄い。
小屋の中でペットボトルを空にし、フタをして下界に持ち帰ると、
ペチャンコになってしまう。
逆に、麓のコンビニで買った菓子パンを小屋の中で、
ザックから出すと、パンパンに膨らんでいる。
標高2400mとは、さほどの気圧の差がある。
ピアノは誰が弾いても構わない。
つまり、私ごときが、弾いても構わないという意味となる。
実際、誰かが弾くと、それが呼び水となり、腕に覚えがある者も、
ない者も、ピアノ椅子に座り、想いをやわらかくぶつけている。
街角や駅ピアノでの演奏は、ある意味《雑踏演奏》である。
ところが、山小屋では、登山者が自動的に観客となる。
聴くのが苦手な方は、寝室に戻ればそれでいい。
長い演奏もない。
なんたって(あかりが消される)就寝時間は、夜8時。
早や寝、早や立ちは、山の鉄則。
「そんなに早く寝るの?」
ええ、何時間も登ってきて、ご飯をおいしく食べると、
バタンキューとなるのです。
んで、4時に起きて、5時には朝ゴハンが山小屋の習慣。
6時には、出発だぁ~
っと、その前に・・・・朝ピアノ――
お客のリクエストにショパンを弾く登山者