この写真は、天ぷらを揚げる時の箸だ。太くて長い。
熱々の油に近づかないように、箸を長くして、
いざという時に逃げる為のささやかな時間を与えている。
この箸には、必ず、エンドの所にヒモが付いている。
なぜ付いているのだろうか?
考えるまでもなく、台所に吊るす為だと思われる。
なぜか、油をあげる箸は洗ったあと吊るされる。
他の箸は、吊るされないのに、長いという理由で吊るされる。
それは、それで構わない。
文句はない。
しかし――
文句は、そのヒモの長さにある。
「ヒモが短い」
ヒモが短いので、うまく箸先でモノを摘まめなかったりする。
一応、ヒモが伸びきった状態ならば、なんとかなる。
しかし、大概、ヒモは絡んでいる。
どちらかの箸に、巻きついたり、捻じれていたりして、
本来の結びより短くなっている。
意味のない一回転をしたりしている。
その長さがエンドの幅を決定している訳で、
摘まもうとすると、先っちょまでの三角形の角度が小さくなる。
そもそも長い箸で滑る物体を掴もうとするのは難しい。
天ぷらとは油まみれの代表格。
なのに、エンドに短いヒモでくくられ、著しく角度を狭められ、
先っちょには、油だらけの天ぷら!
テレビ東京の《指先器用選手権》の出題のようなゲーム。
あのヒモは長くしてはいけないのだろうか?
実は、売っている時にすでにヒモが付いている。
ということは、
「理想の長さはコレです」
指定されているのだ。
誰が決めたのだろうか?
天ぷら料理を極めた板長さんだろうか?
家庭で天ぷらを作っている人の手もとを見ていると、
途中で何度か、箸をクルクル回し、ヒモの捻じれを直している。
しかも、何度かヒモは切れるのだが、新たに結ぶヒモも、
あの長さに結んでいる。
この真面目さは、どう説明すればよいのか?
いつも、「短いなぁ~」と嘆いていたのではなかったのか!
そういう私も、買った時の短いままで使っている。
んで、文句を言っている。
「シシトウの天ぷらを、取り落したんだよなぁ~」
さらに文句を言っている人もいる。
「ヒモの穴が小さいので新しいヒモが通らな~い!」
そのあげくに、
「滅多に切れないこのヒモだけの為に、ホームセンターで、
細いヒモの束を買わなければならな~い」

夜桜