キャンプ好きだと言うと、よく言われる言葉がある。 「イシマルさん、不便が好きなんですか?」
不便は好きじゃない。
むしろ嫌いだ。
キャンプの定義を、《野で食べて眠る》としてみよう。
これは、ある意味、大変なことである。
《眠る》だけでも、クリアしなければならない事柄がごまんとある。
雨露をしのぐテント設営、ペグ打ち、寝袋を敷くには、
床がデコボコでは眠れない。
寒さ対策は、簡単ではない。
意外なのは、騒音。
自宅などと違って、野では、いろんな音が無防備におそう。
さすがにトラもライオンもいないが、
それにまさる音量の車やバイクは通る。
山の上なら、それらは来ないが、その代わり、
カミナリは、ライオンどころではない。
「生きた心地」というワードを噛みしめることになる。
食べるという儀式に近いモノは、キャンプでは、
最も楽しい場面をあたえてくれるのだが、
その分、準備、道具、食材、雰囲気に悩みはつきない。
毎回、カレーで済む人などいやしない。
もう一回ライオンさんに登場願うとして、
ライオンさんのように、
「毎回シマウマでも構わない」人はいない。
猫のように、「毎回、猫缶で構わない」人もいない。
野良犬のように、「毎回あったもので構わない」人もいない。
毎回、違うモノを食べたがるのが、キャンプビトである。
「ええ~なになにコレ・・・うまいねぇ~」
なになにと問うているが、自宅で食べれば、
よくある中華だったりする。
昨日もレストランで食べたスパゲッティだったりする。
野で、作って食べるので、感動の喜びの声が出る。
たかが、カルボラーナを作るのが、野では大騒ぎとなる。
たかが、豚肉のラフティが、大ご馳走となる。
非常に不便な場所で、それらを作らなければならない。
家庭の台所では、すぐに洗えるが、それができない。
マナイタも洗えない。
使った油を、その辺に捨てる訳にはいかない。
これらの行為をまとめると、《不便》という言葉でくくられる。
「イシマルさん、不便が好きなんですか?」
当然の質問なのだが、誰がすき好んで不便にとびこむだろう?
不便な場所をなんとかして、便利にしようとするのが好きなのだ。
工夫して、なんとか便利を追求する。
簡単にしようと努力する。
飯にありつけるまでに、何時間もかかるなどは、しない。
たとえ雨の中でも、すぐに眠れるように工夫する。
誰よりも《便利》が好きなキャンパーである。
この形を追求したのが、
《山小屋》のなのではないだろうか。
ほうほうの体でたどり着き、疲れ切った身体で、
テントを張ったり、水汲みをしたり、飯炊きをパスしたい。
そこに山小屋があったらどうだろう?
・安全
・食事おまかせ
・寝具つき
・重いモノを持ってこなくてよい
いいことづくめである。
願いがかなったのである。
冷たいビールまでのめるときたもんだ!
朝は起こしてくれるし、朝飯も昼弁当まで作ってくれる。
並みのお母さんでも、ここまではしてくれない。
「えっじゃあ、マイナス要素はないんですか?」
え~とねぇ・・・
夜のイビキかなぁ・・・・・・・・・・本栖湖夕焼け