イサキの季節である。《夏イサキ》と呼ばれるほど、真夏はイサキの旬。
魚は、冬に脂がのって旨いとほめられる。
ところが、夏に美味くなる魚もいる。
それは、抱卵の時期が夏にあたるから。
卵を持つということは、オスのイサキは美味くないの?
とアナタは思う。
いえ、オスも同時においしくなる。
この旨さは、脂がのるというようなモノではなく、
身がやわらかく、味が詰まっている感がある。
刺身で食べると、その違いは露骨に分かるのだが、
焼いても煮てもやはり美味い。
いま、《旨い》と《美味い》と両方使っているのは、意図している。
美味いは、ゴハンを食べながら感じている。
対し、旨いは酒の友としてのUMAIである。
じゃあ、《うまい》は何?
それは、《上手い》を連想させる、《じょうず》という、
ニュアンスも含まれている。
刺身や料理の仕方までほめている。焼き方がうまいとか、
煮方がうまいとか、盛り付けがうまいとか、
とかとかの時に、うまいと表現している。
いや、表現しようと心掛けている。
ただし、まったく気にしないでいただきたい。
単なる気まぐれに過ぎない。
では、《うんまい》は何?
それはだネ・・・
ものすごく美味しい時に、つい漏れた言葉。
言語だけでは伝えきれない表情まで含まれている。
ではでは、その《美味しい》は何?
それはだネ、営業言葉だと考えてやってください。
ちょっとだけ、気どっています。
夏イサキの刺身をゴクンとやったあと、
「ああ~おいしい」とは、言いません。
「ん・・・・・・・」
と声が出たあと、しばらくして・・・
「・・・まい」
などと、もったいつけると、もっとおいしくなります。

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