《滝雲》にご執心で、以前から、 滝雲の流れ落ちる場所を探していた。
条件が難しく、季節と山の稜線の形状が深くかかわっている。
実際の滝と同じで、高い所から雲が落ちるのだが、
落ちる場所が、長いライン状になっているのが望ましい。
華厳の滝や、那智の滝のように、
細い滝ではなく、ナイアガラのように幅広く落ちてほしい。
最近、見つけた場所は、越後駒ケ岳(新潟)の登山口。
といっても、滝雲を見た訳ではなく、
登山口駐車場に、滝雲が見られるポイントを、
数か所、地図と写真付きで、紹介しているではないか!
こりゃ親切・・てんで、いつか舞い戻ろうと決心。
さあて、他にどこかないものか?
山に行くたびに、稜線が水平になっている形状を探している。
しかし、なかなかそんな場所がない。
なおかつ、海からあがってきた水蒸気が、
稜線で、いったん堰き止められる場所。
どこかないものかと、腕組みしていたのは、
ウインドサーフィンの最中。
場所は、富士五湖の本栖湖だった。
この場所は、真夏の暑い時に、サーマルという強風が吹く。
海から吹き込んだ風が、竜ヶ岳にぶつかり、雲を生み、
反対側に雲と風がなだれ落ちて、湖面に、
10m以上の風をおくりこむ。
我々ウインドサーファーは、雲の流れを見て、
風の強弱を判断する。
ん・・・?
私は、この湖面に、30年以上通っている。
雲がなだれ落ちる様を、数100回見てきた。
こ・こ・これって、滝雲じゃん!
滝雲を高い所から見ようと、日本中の山の上を探してきたものだ。
ところが、本栖湖では滝雲を、流れ落ちた滝つぼで見ている。
上からではなく、下から見ている。
そのセイで、気づかなかった。
なんという《灯台もと暗し》!
なんという目の前の宝物!
信じがたき大バカ者!
探し物は目の前に以前から、差し出されていたのである。
ひどい時には、本栖湖を出発して、車を走らせ、
滝雲を探しに行ったことすらある。
あまりといえば、あまりの無念。
冒頭の滝雲の写真を撮った時、あまりのアホらしさに、
笑いだしてしまった。
かたや、滝雲探し20年。
かたや、滝雲の風で遊ぶこと30年。
両者が一致するのに、なが歳月―― 空飛ぶフォイル(ウインドの進化系)