家の中から、古い新聞紙がよみがえる。 意図して探した訳ではないのだが、何かに紛れて見つかる。
昨日、時をワープして現れたのは、30年ほど前の新聞。
そこに、たまたま自分の名前を見つけた。
《ごちそうさま》
日本テレビの旅番組のテレビ欄の記事である。
山形県の米沢に行った際のお話が書かれてある。
この番組は、高島忠夫さんと寿美花代さんご夫妻が司会をされ、
長い間続いた食べ物旅番組の草分けである。
いまでは、食べ物旅番組はたくさんあるが、
当時は、フジテレビの《食いしん坊万歳》と
この《ごちそうさま》しかなかった。
イシマルはその中で、金曜日担当で、全国を旅して歩いた。
津々浦々200か所以上の町や村に出向き、
いろんなモノを食べて遊んで帰ってくる。
「うらやましい」と言われることもあれば、
「疲れるでしょ」とも言われた。
移動嫌いの人には、考えられないほどの移動を繰り返す。
それが平気な人には、うらやましがられる。
その時のテレビ欄が、よみがえった。
茶碗を包んでいた新聞の裏面に出ていたのである。
変わったタイムカプセルとも言える。
不思議な事に、この店の《かいもち》の味を思い出したのである。
匂いと味は、ときに時間を超越して思い出す。
実際に食べに行って同じかどうかは、分からないが、
舌が思い出しているという感覚は面白い。
ゴクン――
のどぼとけも後押しして上下する。
先日、古民家を改造して自給自足をしている家庭を訪ねた折、
畳みの下の、古い新聞紙を見つけた。
しばし、記事を読んでいたら、実に読みにくい。
それもその筈、100年近く前の新聞ではないか!
字体が全く違う。
コマーシャルも、見ことのない商品。
非常に貴重な新聞にしばし、時間が止まった。
これから古民家を壊すというお宅は、
なにより、茶箪笥や畳の下の古新聞に注目あれ!