彼岸花が一週間遅れで咲きだした。ここ数年、きちんと一週間遅れている。
ある意味、きちんとした仕事をしている。
花の中で、季節の名前を付けられた珍しい花。
それなりの覚悟があるのか、ずっと9月のお彼岸に、
真っ赤な花を咲かせてきた。
っとずっと思ってきた。
《お彼岸》
この季節を決めたのは、どこの人だろう?
日本列島は長い。
お彼岸に花が咲くと言っても、季節は全然違う。
沖縄と北海道では、ひと月以上の差がある。
彼岸の季節と決めたのは、おそらく関東の方だろう。
「今年は、ひと月遅れて彼岸花が咲いたな」
言っているのは、関東の方だ。
これが東北では、ピッタリ彼岸かもしれない。
《曼殊沙華》まんじゅしゃげ とも言われる。
どっちが本名か知らないのだが、
農村ではお墓の近くに咲いている。
あの毒々しい紅色は、まるで旅立った人を弔うかのよう。
彼岸花が咲くのは、季節の代わり目。
季節が、あの世を近くする。
友人がふと居なくなると、語り掛けをできなくなり、
空白が訪れる。
ふだん頻繁に会えない友人が心配になるのは、
彼岸花の季節。
一週間どころか、もっと遅れてほしいと思う時もある。
どうか、お彼岸は来年もありますよ~