人気ブログランキング | 話題のタグを見る
新蕎麦VSねかした蕎麦
新蕎麦VSねかした蕎麦_e0077899_09594499.jpg
 《新蕎麦》の季節が始まる。
寒い地域で、真っ白な蕎麦の花が、畑を浮かせている。
そこに実がつくと、茶色の粉をまぶしたようになる。
その後、刈り入れとなり、
蕎麦屋の店先に、「新そば入荷しました」のノボリが立つ。

なんでも、《新》とつけば、嬉しい。
新蕎麦に始まり、新米、とくれば、古いモノをあきらめ、
新しいモノを食べようとする。
しかし・・・
新蕎麦が旨いのかと問われれば、
諸手をあげて賛成はできない。
一応拍手はするが、「待てよ?」という気持ちも湧く。

ワインを例にとろう。
《ヌーボーワイン》
とは、その年にできたばかりのワインであり、喜ばれる。
皆が競って買い求め、飲む。
ところが、出来たてより、しばし寝かした方が好きな方も多い。
私も、ソッチ派だ。
若い=旨い、とはならないのが酒の不思議と言えよう。

これを米に当てはめると、
新米より古米が旨いとなるのだが、コメの場合、
やはり新米は旨い。
水分が多すぎると嘆くご仁もおられるが、
米だけをパクついた時の旨味は新米に限る。

ここで、話を蕎麦に戻そう。
新蕎麦とねかした蕎麦。
ワインのデンでいけば、蕎麦はねかした方がいいとなる。
少々ねかした蕎麦の方が、うま味が増すというヒトがいる。
採れたて新鮮は喜ばしいが、深みと旨味は、
ねかす方が勝ると主張される。
私の場合の主張は、
「新蕎麦は香り」で、「ねかした蕎麦は旨味」だと。

「新蕎麦入りました」のノボリがあるのなら、
「蕎麦熟成しました」のノボリがあっても良い。
むしろ、蕎麦屋の看板に、
「手打ち熟成蕎麦」
があるべきだ。
熟成の仕方に凝っている店である。
お品書きの説明に、
「本格的長期熟成の手打ち蕎麦、味の極みをご堪能ください」
なぁ~んて書いてあれば、
新蕎麦には目もくれなくなるでしょう。

となれば、蕎麦戦争も勃発し、ノボリ競争となる。
《10年熟成だったん蕎麦》
 まるで紹興酒の年数自慢のようになる。
《20年のさまよえる古蕎麦》
 年数がどんどん長くなる。
《神代蕎麦復活の極み》
 まるで数千年の深さを表わしたりする。

こんな戦いならば、あっても構いません。
夢あふれていいではないか。
蕎麦の味は、それを表わす言葉の使い方がすべてとなる。
あの微妙な味を、みっつよっつの言葉で表して欲しくない。
妄想も含めたありとあらゆる思惑を並べてみよう。
たとえば――
《立ち食いそば》を《立ち喰いそば》と書いただけで、
雰囲気が変わる。
ノレンをくぐりたくなる。
しまった!自分で書いただけで、
立ち喰いそばを喰いたくなった。
すぐに言ってこよう!
新蕎麦VSねかした蕎麦_e0077899_10000896.jpg


by ishimaru_ken | 2023-10-03 05:58 | その他
<< 巻機山の頂上は? アナタはどっち派? >>



石丸謙二郎
by ishimaru_ken
検索

リンク集

以前の記事
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月

画像一覧