この10日間、私の動きは忙しい。8機の飛行機に乗り(つまり4回の行き帰り)、
その間、バス、自動車、船などだけでも、
合計800キロの距離を走る。
やたら移動しまくる。
その中の徒歩歩きは、計算にいれていない。
これはこれで、面白いのだが、
10日間すべて仕事動きではない。
プライベートな休日もある。
せっかくの休みなのだから、家でジッとしていればいいと考える。
昼寝したり、録画したテレビを観たり、本を読んだりすればいい、
と考える・・・ふつうは。
ところが、なぜか私は動き回る。
早朝から、海に出て釣りをし、自転車で走り、
ミカン狩りツアーに参加したり、
魚屋巡りをしたり、
友人たちをよんで、魚パーティをしたり、麻雀をしたり、
ゴルフの打ちっぱなしに行ったり。
むしろ、休日の方が、あわただしい。
「よせばいいのに」
助言する人もいるが、目が覚めると動きたくなるのだから、
性分だと、あきらめている。
「疲れないんですか?」
問われる。
もちろん、疲れる。
となると、いかに眠るか。
眠り――
脊椎動物は、すべて眠る動物である。
最近の研究では、無脊椎動物も眠ることが知られている。
中でも、クラゲの眠りが、画期的な発見につながっているらしい。
眠るには、《脳》が関係している。
ところが、クラゲには中枢神経である脳がない。
全身が神経系だけで、統括されている。
そのクラゲが眠る。
となると、生き物の進化の歴史の中で、
《脳》より先に、《眠り》が生まれたことになる。
イシマルを育ててくれた演出家つかこうへいをして、
「イシマルは、脳みそまで筋肉でできている」
と言わしめた私の脳みそは、よく眠れる機関である。
動けば動くほど、よく眠ってくれる、良い奴である。