《山のパンセ》なる本を書いた串田孫一さんが、悪夢について、おもしろい文章を書いている。
~~~ ~~~ ~~~
胸の上に手を組むのは私の若いころからの癖である。
誰に言われたのか分からないけれど、
そうして眠ると悪い夢を見るからそんな癖は、
なおした方がいいと言われた。
確かに胸の上の自分の重みは、
悪夢をさそい出すかもしれないが、
悪夢にも少し興味があって、
むしろ、意識してやるようになった。
~~~ ~~~ ~~~
アナタは悪夢を見るだろうか?
たぶん、風邪をひいた時などに見るのではないだろうか。
しかも、悪夢に限って、目が覚めても良く覚えている。
夢の研究者によれば、脳のバランスをとる為に、
あえて悪夢を見せていると言う。
悪夢はこわい。
夢だと気づいていないので、現実感があり、相当こわい。
逆にいえば、「自分が普段何に怯えているか」が、
はっきり分かる仕組みとなっている。
悪夢が教えてくれる。
何度も同じ悪夢を見る場合もよくある。
それは、「怯えている内容が変わっていませんヨ」
と、示唆されている。
たとえば、トイレが汚い悪夢を頻繁にみる方は、
寝小便に怯えている。
たとえば、舞台上でセリフを覚えていない悪夢に、
怯えている役者は、
セリフ覚えが悪いらしいので、ぜひ頑張りましょう。
悪夢は、吐き出し口だと言う。
悪夢を見ることで、脳の中の悪いモノを吐き出しているらしい。
いわゆるバランスをとろうとしている。
では、人が眠らなかったらどうなるのだろう?
水や食料を摂らなくても、一週間以上生きていくことができる。
中には、3週間生き延びた記録もある。
しかし、人が眠らなかったら、
たった3日で、おかしな人になるらしい。
おかしなどころか、死に至る不具合が起きるそうだ。
(実験はやめましょう)
さほど、睡眠は貴重である。
何をするにも優先されるのが、眠りだ。
「きみ!眠ってばかりいなで仕事しなさい!」
叱られた方は、むしろ自慢した方がいい。
「わたしは眠るのが得意なんです!」