《油あげハシ》あえて、このハシをそう呼ぼう。
このハシの特徴は、上部が糸で結ばれている。
ハシの中で、「おてて繋いで」をしているのは、このハシだけ。
その糸の長さは、これで良いのだろうか?
油あげハシは売られている時から、短い糸で結ばれている。
糸の長さは、ほぼ決まっている。
長さは、これで良いのだろうか?
疑問が湧く。
天ぷらを揚げる時にだけ使われる、ハシ。
食事の時に使うハシの2倍の長さがある。
長いハシは使いにくい。
その使いにくいハシの頭部が結ばれている。
このハシを使う時に、いつも浮かぶ情景。
運動会の時のアトラクション。
《二人三脚》
二人の足が片方だけヒモで結ばれる。
歩きにくいのに、「走れ」と言われる。
「あげバシ」はこれに似ている。
二本の長い木の棒を指で挟んで扱うのは、
ただでさえ非常にむつかしい。
指から遠い物体を挟むのだから、神経を使う。
そんな時に、上部を結わえてある事自体、
おかしいではないか!
ここで、みんなで腕を組んで、この問題を考えてみよう。
「なぜ、あの棒は糸で結ばれているのだろう?」
・台所の壁に吊るす為
はい、ほかに意見はありませんか?
吊るす為以外に意見はありませんか?
では、吊るす為だとして、糸はなぜあの長さなのですか?
売られているこの手のハシに付属している糸は、
押しなべて、同じ長さです。
あれが、江戸の昔から油を揚げる職人たちが、
考えに考えた長さなのでしょうか?
あの糸は、たいがいクルクルと巻き付いて、
短くなっている。
よけい扱いにくくなっている。
では、もっと長くても良いのではないか?
というより、壁に吊るして干す必要がないのであれば、
糸は要らないのではないだろうか?
この問題を、天ぷらを揚げる際に、いつも思い浮かび、
なんとかしなければと、常に思い、
ハシ業界に、訴えねばならないと、メモを書き、
思いを同じくする人たちを扇動せねばと、
ハチマキをまくのだが、天ぷらを食べる頃には、
哀しいことに、
すっかり忘れてしまうのであります。