テレビのスポーツ観戦は、格闘である。
どういうことか?
様々なスポーツを観る。
ワールドカップや、オリンピックともなれば、毎日が忙しい。
眠る時間を切りつめてテレビにかじりついている。
すると、競技によって自分の身体の反応が違うこと気づいた。
たとえば――
《柔道》
ソファアに座って、柔道の試合を観ている。
白い柔道着の選手が、ワザをかけようとすると、
それに《私》が反応して、かけられまいと防御の姿勢をとる。
背負い投げをかけられそうになると、グッと腰をおろして
重心を下げる。
腹筋にチカラがはいり、猫背になる。
あるいは、《内股(うちまた)》をかけられそうになると、
背筋が反り返ろうとはたらく。
これらをソファに座ったままおこなっている。
無意識の行動なのだが、けっこう疲れる。
柔道を観ている最中は、組み合えば、常にチカラがはいる。
「待て!」
審判の手があがると、しばし、身体のチカラを抜く。
これが嬉しい。
この休憩がなければ、とても身体がもたない。
ひと試合10分ほど経つと、汗をかいている。
ペットボトルに手を伸ばし、ゴクゴクゴク。
選手が飲んでいないのに、観客である私が飲んでいる。
しかも勝利選手がインタビューを受けている最中に、
ハァハァを肩を上下させているのは、私ではないか。
なおかつ、ハッと気づくと、指を握りしめていたらしく、
つまり相手の柔道着を掴んでいたらしく、
握力が弱まっている。
手の平にツメの跡が残っている。
「のめり込む」というスポーツの面白さを存分に味わっている。
新たなるダイエット筋肉維持療法と言えるのではないだろうか。