《ヤリ投げ》 フィールド競技の投テキは4つ。
《ヤリ投げ》 《円盤投げ》 《砲丸投げ》 《ハンマー投げ》
4つの中で、走っていって投げるのは、ヤリ投げだけ。
あとは、回転して投げる。
この「走っていって」という行いが、
観戦者におかしな動きを強要する。
単に、右足左足と言う風に走ればよいと思われるが、
なぜか途中に、足踏みのようなリズムが加わる。
タタ~ンタタタ~ン
あるいは、
トットトットタ~ン
という表現にしたくなるリズム走りだ。
右投げの選手の場合、横を向いたまま、身体を送ってゆく動き。
この走り方は、すべての競技の中で異種である。
子供が嬉しくてスキップをする。
あのスキップを横向きにすると考えれば、近いだろう。
やや近い競技としては、《三段跳び》の選手の、
ホップステップの時の足の運びかもしれない。
いずれにしても、ヤリ投げの選手が、思いっきり走ってきて、
最後に、横向きのステップをする瞬間!
ソファの私の身体が、ハズム!
ドドン ドドン ドド~ン
選手がファール線を越えないように必死で駆けるブレーキ。
それに呼応するかのように、床に置いたわたしの右足を、
おもいっきり踏み込む。
そのブレーキで、床の絨毯がめくりあがる。
ヤリ投げ競技が始まると、床の絨毯が、
どんどん向こうに動いてゆく。
シワシワになって、向こうに溜まってゆく。
あとで、絨毯を見れば、
「はは~ん、ヤリ投げを観ていたのネ」
とバレるしかけになっている。