
《
カワハギのフグ造り》
久々の、《カワハギ釣り》に出かけた。
カワハギ釣り歴は、60年になる。
大分県では、「ハゲ」と呼んだ。
ハゲ釣りである。
漁村を訪ね、櫓船のついた小舟を借りる。
小学4年生の、けんじろう君が低い身長をものともせず、
リアス式海岸のカキ筏へと漕ぎだしてゆく。
水深は20mほど。
竿はない。
テグスをそのまま右手でそっと掴み、上げ下げする。
海底から届く、微妙な知らせをヒトサシ指で感じ取る。
エサはエビの切り身。
一日に、ひとり10匹も釣れば、晩御飯のおかずとなる。
ハゲだけでなく、ギザメ(べら)、トラハゼ、ホゴ(かさご)などが、
わんさか釣れる。
家族の二晩分のおかずとなる。
魚影が濃かった、古き良き時代であった。
現在、東京湾に遊漁船で出てゆく。
カワハギ専門竿で釣る。
エサはアサリのむき身。
休日には、ひと船に20人ほどのカワハギ好きが竿を出す。
どこかで聞き知り、観て知った釣り方を駆使して、
1ぴき、忘れた頃また1匹と釣れ上げる。
海上6時間半の勝負。
休む間もなく、ずっと立って揺れながら竿を握っている。
座るのは、エサをつける時。
「釣り」というと、日がな一日座りつづけ、
うつらうつら魚がかかるのを待っているイメージがあるが、
そんな遊漁船はない。
全員の目が血走っている。
知らない人が見たら、
《土佐のカツオ一本釣り》と見まごう活気にあふれている。
怒号は聞かれないが、釣り熱が、船全体を包んでいる。
途中、オニギリやパンに食らいつくのだが、
その数秒を惜しんでいる。
近所で、カワハギが釣れるのを見ると、
パンを放りだし、竿をつかむ。
これほど、いっときを惜しむ遊びも珍しい。
遊びというより、《格闘》の感すらある。
特に午後になって、風が強くなり、波が高くなるや、
船はおおきく揺れまくる。
まさにカツオ釣りさながらの、活況がはじまる。
(なにも、こんな日に)
こんな日もなにも、「休みだから来ました」人たちにとって、
荒れる海など、なんのその!
「これで沖あがりになりま~す」
終了のアナウンスが船長のマイクから流れる1秒前まで、
(次の瞬間、30センチを超えるビッグサイズが釣れるんじゃないか)
見果てぬ夢が渦巻いている。
わたしの釣果は、7匹。
ま、一日の平均的な数だろう。
久々のことで、カワハギの写真を撮るのを忘れてしまった。
代わりに、《サバフグ》が釣れた写真を。
(食べれません、毒)