秋も深まり、冬の声を聞くと、大サバを発見する。 見つける場所は、行きつけの魚屋。
以前と違い、おおきなサバは、そう易々といなくなった。
漁船の漁で捕れるのは、小サバか中サバ。
400~600グラムほどのサバたちである。
時折り釣り師が、アジを釣っている最中に、
おおきなサバがかかることがある。
1キロを超える丸丸と太ったサバが、
暴れまくって水面に顔を出す。
油断すると、テグスを引きちぎって逃げてゆく。
慎重にタモ捕りすれば、青々とした背中の文様と、
銀色の腹が、お日様を受けて魅力的に光っている。
冒頭のサバは私が釣ったものではない。
釣り人が、魚屋に置いて行ったモノ。
「いま、置いて行った」
と、魚屋の大将に聞いた途端に、
「売って下さい!」
意気込む。
しかして、体重1.1キロ、身長45センチのマサバが手に入った。
家にとってかえし、真っ先に内蔵を取り出す。
これだけで、アニサキス問題は解決といってよい。
キレイに捌き、三枚におろす。
まず半身は、刺身でいただく夜となる。
もう半身は、シメサバをつくる。
翌夜の宴の為である。
新鮮なサバは二晩楽しめる。
サバは回遊魚で群れをなして泳いでいるが、
時折り、はぐれものが、ある場所に居ついたりする。
潮の流れのはやい所に居つき身体が大きくなる。
一匹釣れると、もう一匹釣れたりする。
はぐれサバ達の群れがあるのだろう。
よほど暮らしやすい場所なのか、食べるだけ食べて大きくなる。
寒くなると、脂ものる。
捌いた包丁が脂だらけになる。
塩で〆ようとするが、なかなか塩が入らない。
普段の3倍の時間がかかる。
シメサバの腹身の部分を噛みしめると、
ジュワ~~ンと噴き出す酢でしまった脂が旨い。 サバ刺し身