《あーどぅるー焼》与論島にある陶器の工房の名前だ。
こちらの女性主人は、チカラ強い作品をこしらえておられる。
作品というのは、造っている陶器が、
食器にとどまらず、いわゆるゲージツ作品となっている。
賞ももらっておられるらしい。
写真のモノは、カバンなどをテーマにした作品。
触感まで伝わってくる微笑ましい陶芸品だ。
売っているのか、質問をするのを忘れたのだが、
実は、この工房の陶器でアレが好きなので、通っている。
《ビールカップ》
ビールをグラスや陶器にそそぐと、泡が出る。
一杯目は、うまくそそげば、《絹の泡》がでる。
これが旨いってんで、呑み屋でも、
自動的に絹の泡がでる装置を置いてある。
さほど、ビールには、絹の泡だ。
素焼きの陶器は、基本的に、ビールを注ぐと、絹の泡がでる。
ところが、それは、最初の1杯目だけだ。
つぎ足したり、2杯目を入れると、絹の泡はたたない。
乾燥した状態の陶器のみ絹の泡がでる。
さあそこで、あーどぅるー焼きが登場する。
このカップは、2杯目だろうが、つぎ足そうが、絹の泡がでる。
試しに、水でチャッチャッと洗い、ビールをそそいでみたのだが、
きちんと絹の泡が出た。
こんな陶器やグラスは日本中、他に知らない。
我が家に呑みにくる友人たちは、不思議そうに器をのぞき込む。
つぎ足しながら、嬉しそうに首をひねる。
そんなだから、与論島に行くたびに、買い求めている。
ところが、最近、その器が棚にならんでいない。
ご主人に訊いてみた。
「ビールのカップは造らないんですか?」
「そうね、もうやめたの」
「絹の泡がいつまでもたつ奇跡の器なんですよ」
「あら、そうなの?」
ご主人は、そうとは知らずに造っておられたそうな。
なぜ、絹の泡がでるのか、原理も知らなそうだった。
「サンゴの化石のセイかしら」
偶然、かような食器を造ってしまったらしい。
っと、いうことは、今我が家にある器は、
割れてしまえば、もう無くなってしまう。
困った・・・
どなたか陶器をつくる方が、お店を訪ねて、
あのビールカップのナゾを解明し、
あーどぅるー焼きに特許申請をしていただいて、
新たに売り出して貰えないだろうか・・・と、
毎日、カップをかたむけながら、夢みている。
もちろん、あーどぅるー焼きが再現してくれれば、
最も喜ばしいのだが・・・