ドバッ ドレッシングが、野菜の上に、大量に出た。
ただ傾けただけなのに、ドバッと出た。
出口を確かめてみると、おおきな口があいている。
たくさん出るように仕掛けられている。
そういう主義のドレッシングを買ったらしい。
ふむ、これはこれで仕方ない。
化粧品の乳液にも、ドバッと出るモノがある。
カシャカシャと振ったあと、手の甲に出そうと傾けただけで、
大量の、(5回分を超える)白い液体が出る。
しばらく見つめたあと、顔に塗るのでは、不満なので、
腕まくりをして上腕にぬりたくる。
こんな場所に塗っても、ほとんど意味がない。
ジャー
刺身を食べようと、醤油を傾ける。
旅先の道の駅で買い求めた旨そうな醤油だ。
サービス精神が旺盛なのか、ジャーと出る。
数人分の刺身が食べられそう。
ふと――
その昔、振っても振っても出てこない小さな瓶にいらだって、
喫茶店で、その名前を聞いたら、
《タバスコ》だと知らされた。
知らされた時は、20回以上瓶を振ったピザのカケラを、
口に入れた瞬間だった。
ギャアアアアアァァァ~~~~
その日一日、モノが食えなくなった。
18才で都会に出てきたばかりの青年には酷な日だった。
現在、逆襲のように、ドバドバ出るモノに襲われている。
沢山出れば、すぐに買い替えるので、企業としては儲けになるだろう。
それはそれで構わない。
しかし、どれが、ドバッと出るのか分からないトラップのような、
様々な商品と戦わなくてはならない。
昨夜、予期せず頭髪にかけられた大量のリンスは、
利いたのだろうか?