納豆を納豆の産地で買って食べる。 納豆好きにとって、こんな幸せなことはない。
特に、個人の方が豆から造って、丁寧に育てているのなら、
なおさらである。
実際、朝、見つけた納豆を冷蔵庫から出して、こね、いただく。
うん、うまい。
やわらかく、ほどよい香りがして、ねばりも豊かである。
こうなると、もっと買っておけば良かったと惜しむ。
しかし、大量生産できない納豆は、日にちが保たない。
3日分がせいぜい。
そして、3日がたつ。
希少品が無くなった。
その時、ふと・・・
この納豆が毎日手に入ったら、毎日食べられるだろうか?
ほぼ毎日、納豆を食べる習慣がある。
スーパーで売っている3つでひと固まりの大量生産の納豆。
毎日、一年中、同じパックを2個食べているのに、
いまだ飽きることがない。
「けさも朝から、なっとうがうまい!」
などと、大きな声で喋っていたりする。
ほんとに納豆がうまいのか、健康に感謝しているのか、
毎朝、毎朝、同じメーカーの納豆を腹におさめる。
毎日、同じ缶詰をたべる猫を「偏食」などとバカにはできない。
さきほどの、「ふと」の続き――
あの現地で買い求めたおいしい納豆を、毎日食べられるだろうか?
週に一回、別のモノを食べるとして、
年間300日、あのおいしい納豆を食べられるだろうか?
答えは、おそらく、「否(いな)」である。
100点に近いものを、日々ほめ続ける気力が保たない。
なにより、あの味に慣れて飽きるのが怖い。
ベストのモノは、ときおり、いただくのが至福となる。
さほどおいしい納豆を見つけただけで、喜びとしなければ。 あちらこちらの宿の朝食にも必ず 納豆