能登半島の先っちょに、変わった形の岩島がある。 あると述べたが、あったに変えよう。
《軍艦島》(見附島)
海の中に軍艦が舳先をそらしているかのような、
奇っ怪な形をしている。
日本列島の成り立ちを、山に特化して番組にしたのが、
BSNHKで放送されている《ジオジャパン》
ナレーションをさせていただいている。
それによると、日本の山の出き方において、大きな地震が、
かかわっている。
火山や隆起が繰り返される中で、《崩壊》がおこるのは、
千年に一度と言われる大地震のセイ。
千年に一度と言われれば、滅多におきない現象と思われるが、
何十何百万年という単位の中では、頻繁におこる現象。
つまり、10万年では、100回おきている計算になる。
それが、能登半島で起きた。
テレビで、軍艦島が崩落して姿を変えたと報道された。
ネットでも、崩落の様子が映し出された。
私が、訊ねたのは、2022年の初夏。
自転車で能登半島をこいでいる際、
立ちより、シーカヤックを借りて、近くまで漕いでゆき、
墨絵にしたためた。(冒頭の絵)
てっぺんに海鳥(ウミウ)の巣があり、美しさの中に、
削られた自然の驚異も感じていた。
もしかすると、千年前には、この岩島は、
もっと太かったのかもしれない。
さらに千年前には、二つの岩島が林立していたのかもしれない。
さらにさらにもっと昔には、岬から半島が伸びているだけの、
光景だったのかもしれない。
いま、我々が観ている自然の姿は、一瞬の切り取りに過ぎない。
仮に時間を10000倍に速くして、眺めていれば、
火山が生まれたかと思えば、雨風にどんどん浸食されて、
尖った山並みになり、やがて、
丸いおだやかな丘になってゆくのが見られるだろう。
軍艦島の変化を惜しいという気持ちがある。
と同時に、軍艦島が、我々に教えてくれた教訓はデカい。
「自然は、常に過渡期である」
そして、すべての山々の峰は、過渡期の形を並べて、
造山の不思議さを考えさせてくれる。 裏から見ると 横から見ると この部分は、崩落土砂で埋められた