《
二子山山頂》
昨日、雪の中を、ズボズボあるく話をした。
例年のこの季節であれば、雪がふんだんにあるので、
山の中の雪を踏んで歩くのは、
《歩く》というより、《泳ぐ》という表現の方が当たりであろう。
《ラッセル》なる登山用語がある。
雪を足やシャベルで、どけたり踏んだりしながら進む行為。
それに使われるのは、アイゼンであり、スノーシュー。
昔からあるものでは、カンジキ。
ところが、今年の雪の少なさは異様。
例年の4分の1ほどしかない。
つまり、通年であれば2mを超す積雪の場所に、
50~70センチの積雪しかない。
真っ白の雪原であるハズなのに、笹が、
頭どころか腹まで出している。
なおかつ、追い降雪がない為に、表面だけ固くなっている。
すると、どうなる。
一見フワフワの雪野原が、薄皮一枚固くて、
それを踏み抜くと、ズボッ!
モモまで落ちる。
(スノーシューを履いてないからなのだが)
這い出すのが、えらいこっちゃになる。
這い出すと言ったが、反対の足を雪の上で踏ん張ると、
そっちもズボッ!
ストックで踏ん張ろうとすると、そいつもズボズボ。
ストックを横に倒して、それに体重をかけて這い上がる。
えれぇこっちゃ・・・
この北八ヶ岳の双子山からの下りでは、
だだっぴろい雪原がだらだらと続く。
夏道であれば、1時間半で歩けるところ、
4時間の悪戦苦闘となった。
さらに、この日は風が強かった。
気温は、マイナス4℃。
頂上のだだっぴろい広場では、
風速20mを越えた。
最大23mになんなんとしていた。
ウインドサーファーとして、正しい風速を感じている。
左側からドンッと横風があたる。
ザックの面積の分、風をよけいに受けるので、
横にとばされる。
「わっ毛糸の帽子が飛んだ!」
頭に、手ぬぐい、毛糸の帽子、風防をかぶっているのだが、
それらが、吹き飛んだ。
風下を見ると、はるか先に帽子が落ちている。
(ど、どうする?)
毛糸の帽子がないと、頭が寒くなり、思考能力が落ちる。
取りにいくか?
登山道を外れると、ズボッくらいではすまされないゾ。
ど、ど、どうする?
しまった紙面が尽きた――また明日!