「ちょいと、コンビニまで」 旅先では夜、ホテルから、ちょいと歩き出す。
町中であれば、さほど歩かなくともコンビニが現れる。
夜の散歩としては、ほどよい距離と言えよう。
(おいおい、これは難儀やゾ)
先日、神戸で《奇人たちの朗読会》を催したおり、
打ち上げで軽く一杯やったあと、ホテルに戻り、
皆で、コンビニまで散歩に出かけたのだった。
神戸の町並みは美しい。
以前は「異国情緒あふれる」という接頭語が被せられていたが、
いまでは、神戸の街は、「神戸らしい」という言葉で語られている。
神戸自体が、接頭語となっている。
「落ち着いた」という言葉も添えられている。
ところが――
歩き出して、パシャリパシャリと写真を撮っていたものの、
皆が、あえぎだした。
考えてみれば、ここは、坂道の街神戸とも言われる。
酒を呑んだあとでの坂道登りはキツイ。
それも緩い坂ではない。
自転車なら最大の軽いギアにするか、電動自転車にするか、
いっそ、乗らない方の選択をしたくなるような急坂。
軽くの酒は、一気に汗で出てしまった。
神戸には、震災の前もあともやってきているが、
イメージはさほど変わっていない。
ふらりと、三宮の駅地下で、ピアノも弾かせてもらった。
その様子をスマホで撮影していた劇作家、
後藤ひろひと氏に言わせれば、
「駅ピアノって、誰も見ていないし、聞かないんだね」
ええ、外国と違って日本では、よほど感心がある人以外、
積極的に寄ってこない。
うるさいと感じる人すらいるので、音量をミュートさせている。
ゆえに聞こえずらい。
なかには、弾いている本人すらよく聞こえない場合もある。
となると、下手くそな私の場合は、大雑把な弾き方となり、
よけい誰も聞きゃしない。
後藤氏の指摘は、半分当たっているが、半分個人の責任です。神戸の街中でなんじゃこりゃ