1998年長野オリンピック開催された遺産が今でも残されている。
《ジャンプ会場》
残されただけでなく、現役のジャンプ台だ。
雪のないシーズンでも、緑の特殊素材を貼り、
選手が跳べるようにしている。
一般客も、ジャンプ台の上に登れるようになっている。
18年ほど前、札幌の大倉ジャンプ台のてっぺんに、
登ったことがある。
観光客が立つテッペンは、柵があるので、怖くない。
しかし、選手の立つ場所は、
いかにも断崖に立たされている感覚がある。
あそこから自らの意思で滑り降りるのだから、
滑降(時速150キロ以上で滑り降りる)選手に、
「あいつらおかしい」と言われても仕方ないだろう。
(ジャンプの選手は滑降の選手を
「あいつらおかしい」と言っている)
八方尾根の付け根にあるジャンプ台。
《ノーマルヒル》
《ラ~ジヒル》
二本並んでおり、観光客は、460円払えば、
リフトとエレベーターを乗り継げる仕組み。
ラージヒルの最高地点は、地上140mの高さがあり、
エレベーターを降りてから、階段を登らされる。
階段は、網目状の金属であり、底が透けている。
高所恐怖症の方は、行かない方がいい。
エレベーター乗り場にこんな張り紙が――
混雑時には階段を登るように示唆している。
階段の所に、261分の1という数字が見える。
階段の数を教えてくれている。
(アナタ、登りますか?)
かと思えば、エレベーター乗り場には、こんなモノも――
「選手を優先して乗せて下さいネ」
まさか、冬季の大会の最中、観光客がエレベーター前に、
いるとは思えないのだが、おそらく、
無雪期の選手の練習の時の張り紙だろうか。
練習中なら、一般客も、選手が飛びたつ姿を、
さらに10mほど高い場所から観覧できる仕組み。
選手優先とはそういうことだろう。
60才になってスキーを始めた私は、それ以前、
「一度でいいから、ジャンプ台から飛んでみたい」と思っていた。
ただの空想に過ぎないが、
「飛んだら気持ちいいだろうな」と、
無邪気にテレビの前にしがみついていた。
今、このジャンプ台の上部の観覧場所に登ってきて、
それは、あまりにも現実的でないと気づいた。
高い所は、平気である。
岸壁をロープ一本で登ったりもしている。
しかし、このスロープをスキー板で滑り降りるのは、
いかがなものか?
そもそもジャンプ競技の発祥はノルウエーで、
囚人に「飛んでみろ」と飛ばさせて、
生き残ったら刑を許してやるというモノから始まったらしい。
人は想像力が現実より勝っていると思っている。
このスロープを滑る間に、
いろんな想像をしてしまうのではないか。
逃げることのできないレールのようなスロープ。
ノルウエーの人は、もの凄い豪胆な方たちなのだろうか。
あっ、バイキングって、ノルウエーだった。
スケルトンの階段