《ウマヅラハギの刺身》カワハギの種類は主に2種類。
《本カワハギ》と《ウマヅラハギ》
ウマヅラとは可哀そうな命名であるが、その通りの
のっぺりとした顔つきをしている。
本カワハギが、四角いのに対し、ウマヅラは、
横に長い形をしている。
種が環境に影響されるように、ウマヅラも従ったようだ。
本カワハギが、一定の場所に居ついているのに対し、
ウマヅラは、あちこち遊泳する。
ダーウインの理論が浸透し、流線形に近いからだに変化した。
いや、ひょっとすると、流線形のウマヅラが、
一箇所に居つくようになり、
四角い本カワハギに形を変えたのかもしれない。
ソッチの理論の方が、説得力があるだろう。
釣り人は本カワハギが好きだ。
ウマヅラは旨くないと断定して、釣れると、
「なんだ、馬かよ・・・」
残念きわまりない声を出す。
ぽいっと海に投げる人すらいる。
おいおい、あなた方は、カワハギのキモが好きで、
食べたくて、釣りをしているんだよネ。
キモだけを言えば、ウマヅラの方が、3倍くらいの量がある。
「いや、身が美味しくないから」
いえいえ、何をおっしゃいますやら・・・
確かに本さんの方は、身そのものに旨味がある。
しかし、プリプリした食感は、ウマヅラの特権だ。
むしろフグに似た噛み応えと、プリプリ感は捨てがたい。
私は圧倒的に、ウマヅラ派である。
魚屋では、ウマヅラの方が身の量が多いにもかかわらず、
値段が半分以下で売られている。
「ふふふ」
私はほくそ笑んでいる。
コッチの方が美味しく、好きなのに、なぜか安い。
鍋に入れても、ウマヅラの方が旨いと思う。
コラーゲンもたっぷり。
やはり、海の中を放浪している魚は、旨い。
自分の放浪癖を棚に上げて、放浪魚を持ち上げている。
しまった、ウマヅラの旨さを教えてしまった。
撤回撤回!
ウマヅラはまずくて食えない魚です。
毒もあるかもしれませんので、なるべく買わないように。
間違って釣ったら、隣にいる私の桶に捨ててください。