
《
白馬大雪渓のまだまだ緩斜面》
白馬大雪渓で、先月、滑落で亡くなられた方がおられる。
この大雪渓に行かれた方なら、
「えっ、あそこで滑落しても、助かるんじゃないの?」
感想がうかぶ。
「いったい何があったのだろう?」
当然の疑問も浮かぶ。
大きく長い雪渓では、クレバスと呼ばれる、
雪の亀裂が生まれる。
最初は、小さな赤ちゃんクレバスなのだが、
お日さまに照らされて、日々拡大してゆく。
そのスピードは速い。
あっという間に、大人のクレバスに成長する。
恐らくだが・・・勝手な想像だが、
滑落した方は、落ちる時、
頭を下にして滑り、その挙句、クレバスに落ちる際、
頭部をぶつけたか、首をひねったか、
したのではないだろうか?
哀しい結末を想像したくないのだが、
その方の為にも、今後の対策を考えねばならない。
犠牲となったその方の、偶然のような滑落事故の教訓を、
役立てなければ、故人が夢みた山行が浮かばれない。
ほんの一瞬の差で、生き死にが左右される。
こう言うと、50%の確率のように聞こえるが、
そんなことはない。
確かに山岳遭難は、いまでも多い数値なのだが、
交通事故に比べれば、遥かに少ない。
山に死にに行く覚悟で行く人はいない。
死を覚悟していく人もいない。
どんな事があっても、生き残る覚悟で行っている。
さほど大げさでなくとも、ケガだの死ぬだのというマイナスを、
しないような覚悟でのぞんでいる。
それでも、救急車の来ない山の上では、
たかが足を捻挫しただけで、時と条件によっては、
生きて帰れなかったりする。
今年の白馬大雪渓は、雪の溶け方があまりに早く、
クレバスがどんどん拡大して口を広げている。
その結果、危ないということで、
7月4日に、通行止めとなっている。
現在は、なんとか通れる道を指示するべく、
道づくりをして頂いているが、溶け方の方が早いのか、
通行が許可されるか、いまだはっきりしない。
遠い将来、槍ヶ岳に向かう槍沢のように、
雪のない登山道となるかもしれない。
はるか先の未来の話しではあるが・・・
(故人にこころをこめて合掌)
おケツに熊の毛皮をつけて滑り止め