カツオの脂が、増している。カツオには、《戻りガツオ》と呼ばれる季節の魚体がある。
三陸沖まで北上したカツオが戻ってきて、相模湾や、
駿河湾で水あげされるカツオの別称だ。
冷たい海水域で体内に脂がつき、
普段赤い魚体が皮をはいだ状態で、白っぽく見える。
いかにも脂がのりきったカツオ。
この戻りガツオが市場や魚屋に並ぶのは、
毎年、8月以降で、9月10月が常だった。
ところが、今年は、7月にあがったカツオが白っぽく見える。
つまり、脂がのっている。
実際、刺身にして食べてみると、実に旨い!
日本酒によく合う。
これを《当たり年》と喜んでいいのだろうか?
個人的には喜びたいが、科学的には、
単に黒潮の暖流が蛇行しただけとの説明も聞く。
温暖化という解釈だけにしたくないのだが、
嬉しい時のヒメイは、
のちの《悲鳴》につながるかもしれない。
のちの悲鳴とは、枯渇という悲鳴であろうから深刻だ。
サケの陸上養殖が、やっと日本でも始まりだしたが、
すでに遅いと云うべきかもしれない。
ほとんどの魚を陸上養殖すべき時代となっている。
海は広きものではなく、浄化してくれるものでもなく、
当然、ゴミ捨て場でもない。
お金という対価と吊りあわなければ、
陸上養殖を始めないというのでは、遅すぎるかもしれない。
船を造る技術と能力があるのならば、
陸上で海を拵えるのは、
さほど難しいようには思えない。
チリ産のサケを長い間、食べてきたものだが、
あれは、陸上養殖だから、生で食べられた結果だ。
街の中を一周して成長するトンネルブリや、
ウオータースライダーを活用した、
サバやイワシの大群を見たいものだ。