「また、富士山登ってるんですか?」 友人に言われる。
またって、去年に続いて、二回目じゃないか。
「また、同じコースなんでしょ」
またって、同じ《御殿場コース》だぁよ。
私がすっかり気に入った富士山の登山路だ。
なんたって、登山者が少ない。
その上、富士山の大きさを実感できる。
富士山には、4つの登山路があるが、
最も長く、ズルズルと砂地獄のある御殿場からの登りを、
みんな嫌う。
この登山口は新五合目とい名前で、
標識が立っているのだが、
他コースの五合目と標高では全く違う。
富士山では、少しでも高い所から登れば、楽になるので、
《高い所からの出発合戦》が行われてきた歴史があるようだ。
おなじ五合目と呼ばれていても、微妙に標高が違う。
100mも標高が高ければ、その分歩きでは楽となる。
そんな時、御殿場口も、登山口を造ったのだが、
明らかに、相当標高が低い。
私的なカンでは、2合目に当たるのではないだろうか?
「それでは、登山者がやってこないのではないか?」
と心配したのか、(あくまで私の推測なのだが)
名前がこういう風に付けられた。
《新五合目》
さほど、五合目と新五合目の高さは違う。
これが、富士登山を面白くしている。
4つの登山コースが、数字としてすべて同等でないのが、
いかにも日本的で、ほほえましい。
ただし、《新》がついているかどうかは、
時に、待ち合わせなどの時に、ややこしくなる。
たとえば、《新》は五合目だけにあるのではない。
《新六合目》もある。
「じゃあ、六合目で合流しましょう」
と約束して、実は、新六合目で待っていたりする。
そこが標高違いの別の場所だと気づかない。
スマホの電波も届かない。
こんなもので、驚いてはいけない。
須走口コースには、
《本六合目、本七号目、本八合目》がある。
本物はこちらですよと、アピールしている。
こうなったら静岡側の、富士宮コースだって黙っていない。
《元祖七合目》を打ち出している。
ある意味、宣伝合戦の様相だ。
こうなると、山小屋だって名前で客集めに精を出す。
登山者に魅力的な名前を、ひねり出す。
《見晴館》
《日の出館》
《万年雪山荘》
《雲海荘》
《太陽館》
《胸突山荘》
そして極めつけは、こちら。
《御来光山荘》 砂走館の上に早朝の満月が