オリンピックは、世界選手権と違って、 色んな選手のインタビューを、次々に見せてくれる。
そのインタビューの喋りのスピードについて、
特筆すべき現象があった。
インタビューアーの質問に対し、
「どれほどの速さの反応をし、
どれくらいの速さで喋るのか?」
各種目のメダリストで、検討してみた。
《柔道》の選手の場合、体重が軽い選手の方が、
かなり反応が速く、喋り方も速い。
これはなんとなく分かる。
《サッカー》も体重は軽いのだが、急いで喋るシーンは、
さほどない。
サッカーの場合、インタビューを頻繁に受けるので、
定例の受け答えになっているのかもしれない。
《水泳》の場合は、ややゆっくりしている。
速く喋る必要がないのかもしれない。
ひょっとすると、呼吸方が、水中で違うからだろうか。
《バドミントン》は、喋りそのものは速いのだが、
喋りと喋りの間に、「間」がある。
まるで、この競技を象徴しているかのよう。
そして、最も速かったのは――
《卓球》
他の競技の追従を許さないほど、喋りは速い。
キレもいい。
ハイスピードで喋って、サッと去ってゆく。
これまた、卓球という競技を表わしている。
競技自体が、テレビビデオの早回しのような様相なので、
肉体だけでなく、神経系も研ぎ澄まされ、
喋るという頭脳に関わる部分も、高速回転している。
インタビューで喋りながら、3歩先の答えも、
用意しているかのようなハヤワザである。
質問が終わる前に、答えを喋り出している場合すらある。
これなどは、「カウンター技」そのものだ。
相手の繰り出しを予見しているらしい。
卓球には、「たらたら」という言葉がない。
もし、インタビューアーが、「サーブ」という名の
質問をしなかったとしたら、黙ったままサッと、
その場から居なくなるかもしれない。
その後ろ姿には、こう書かれてあるだろう。
「ゲーム終了」