
《
50年前の写真集が最近我が家から見つかる》
「イシマルさん、マッターホルンどうかご無事で」
仲間たちが、心配しながらも応援してくれる。
「ご無事で」
と言われるという事は、岸壁登りなので、
滑落とか遭難とかの文字が浮かんでいるのだろう。
たしかに、危なげな登攀であることは否めない。
ツェルマット上空から撮られた有名な写真(冒頭)を見ても、
美しい姿には、そそり立つという要素が含まれている。
四角錘のひとつの角っこを登るのだから、
岩登りがいくら好きだからと言って、簡単ではない。
しかしながら、私的には、遭難ポイントが違うのである。
そのポイントとは・・・?
チェルマットの街にたどり着く前に、
おおきな《障害》が立ちはだかる。
行きも帰りも、飛行便がスイス直行ではないのだ。
《ロンドン経由ジュネーブ行き》
(経由という曲がり角がある)
20年ほど前にロンドンのヒースロー空港に行った。
とにかく広かった。
ただし、その時には、アテンダントの方がいたので、
なんとかなった。
ところが、今回は、プライベートなので、
ひとりで何とかするしかない。
《乗り換え》という、難題を突き付けられている。
仮に羽田空港で乗り換えるのは、
日本語がやたら書かれてあるし、
たとえ出発ゲートが変わっても、アナウンスを理解できる。
そういえば、以前のヒースロー空港でも、
小さな変更があったものだ。
私は気づかなかったが、アテンドの方が対処してくれた。
山道の遭難とは、小さな道間違いから始まることが多い。
右に曲がるべき所を直進して、崖道に踏み込んだりする。
小さな看板を見落として、薮道に迷いこんだりする。
その看板には、文字が書いてある。
そう、看板とは―ー
空港における《表示》にあたる。
そこには、アルファベットと数字だけで表されている。
私の旅道に、山道のようなピンクのリボンはない。