
《
0,98%》
《低酸素室》に続けて入る。
マラソン選手が、本番前に、
《高地トレーニング》を行っていたものだが、
その高地へ本来の目的で登りに行く人たちが、
低酸素室を利用している。
今回は、4478mの標高までなので、
ヒマラヤのような高度順化は必要ない。
とはいえ、酸素量は少なくなる。
一回目の入室では、《11,4%》という酸素量。
3回目では、《9,8%》まで下げてくれた。
これは、5000m越えの標高に匹敵するらしい。
真夏は、海外の高山に行く人が多いらしく、
この低酸素室は、人気で、
ひと部屋に、二人が入っていたりする。
ほぼ同じ高度の山の空気の薄さの訓練となる。
片や、ステップに登ったり降りたりを繰り返し、
片や、6キロのザックを背負い、ウオーキングマシンの斜面を歩く。
指には、血液内酸素量測定器を付けている。
99~0までの%が表示される。
通常生活では、70を切ると、かなりマズイ。
しかしながら、この低酸素で運動をすると、
60代はおろか50代~40代と下がってゆく。
だからと言って、深呼吸はしない。
あくまで訓練なので、通常呼吸で低酸素に身体を慣らす。
50を切ると、目の前がクラクラし、何かに掴まっていなければ、
倒れそうになる。
鏡を見れば、青い顔をしている。
手の平も紫色になりかかっている。
さすがに40代になったら、独特の《呼吸法》で、
80以上に戻す行動をとる。
呼吸のやり方で、正常に戻すのも訓練のウチだ。
数回の入室で、自分の身体を正常に戻すやり方ば、
なんとなく掴めてきた。
と同時に、人間の身体は、酸素がきちんと必要なのだと、
実感させられた。
普段、なんとなく吸っている空気のありがたみを知る。
30センチほどの段の登り下りを繰り返しているのだが、
30分で汗ビショになる。
なんでも、5000mで筋肉疲労は地表の倍になるそうだ。
半分のチカラしか発揮できない。
今回の低酸素室利用は、
高高度に身体を慣らすという目的よりも、
どうやって、《疲労と呼吸の接点》を見つけるか?
言い換えると、《呼吸によって疲労を取り除く方法》を、
自分の身体で知る事である。
実際の山登りの最中は、様々な条件が重なり、
シンプルに疲労を感じにくい。
ルームという閉ざされた環境なら、繊細な感覚が手にできる。
たとえば、血液内酸素量が、40代になった時の感覚と、
80代に戻った時の感覚をシビアに感じ取れる。
何度も繰り返して、自分の身体の状態を知りえる。
実際、その後、富士山で、実証してみたが、
うまく感覚を蘇らせることができた。
これが、もっと高い山で実践できれば、しめたもんだ。
つまり、マッターホルンで――
血液内酸素量42% 脈拍102