《ヴィア・フェラータ》イタリア発祥の崖伝い遊び。
いまやスポーツとしても知られ始めている遊び。
「崖は危ない」
誰もがそう思う。
私も思う。
「崖で遊んではいけません」
子供の頃言われたものだが、子供は遊びたがった。
崖遊びで、危険という概念を覚えたものだった。
《崖》とは、《岩場》であり、ゾクゾクする場所である。
その崖に、安全に登るとしたら、アナタは行きますか?
と、問われている。
どのくらい安全かと言えば、まず落下することはない。
「まず」という言葉の使い方が間違っています。
決して落下することはないと言い換えましょう。
腰にハーネスという安全器具を付け、
そこに、《デバイス》という二股に分かれた、
伸びるロープを2本付ける。
ロープの先には、輪っかの金具がついており、
それを、崖に張られたワイヤーにかけながら進むという、
仕組みである。
ワイヤーとは、最初から最後まで一本で繋がっている訳ではない。
途中で何度も支点を造りながら、安全確保している。
ワイヤーの支点をのっこす際は、ふたつのロープを順次、
かけ直しながら進むので、もし転んだり落ちそうになっても、
どちらかのロープで落下を防ぐ仕組みだ。
どれほど安全かと問われれば、
東京の高尾山に登るより、危険度は少ないと答えよう。
毎年、高尾山の救急車の出動回数は多い。
しかし、ヴィア・フェラータに置いて、
救急車が出たと言う話は聞かないらしい。
冒険はするが、安全にも厳しい目を向けるイタリアが、
発祥なのも、うなづける。
私の初のヴィア・フェラータは、ツェルマット郊外の、
氷河から流れ込む急峻な峡谷を、
上部から降りるコース。
きちんとしたガイドがいないと立ち入れない。
まず、いきなり数十メートルの懸垂下降から始まる。
両側は切り立った断崖絶壁。
水で洗われたツルツルのハングした岩を降りる。
底にたどり着いたら、すぐに、デバイスを、
予めコースに張ってあるワイヤーに2本かける。
さあ、ここから下流まで本物のドキドキの冒険!
基本的には、3~5mごとのワイヤーの支点で、
自分で架け替えをしながら、
速いスピードで進んでゆく。
気温は低いはずなのに、
あまりもの興奮と運動量で、汗びっしょり。
眼下には、濁流がゴウゴウと暴れている。
上を見上げても、はるか上に空がやっと見えるほどの、
急峻な崖!
トラバース的に崖を伝うのだが、時折、
岩の小さな穴をくぐったり、
ロープで、反対側の崖まで数十メートル飛んでいったり、
上部から垂れさげられたロープに身体を確保して、
ターザンのように、反対側の崖に飛び移ったり、
もう、ありとあらゆる崖の楽しみを満載させてくれる。
崖に無理やり拵えた「伝い板」にいたっては、
幅が5センチほどの危うい木の上を歩かねばならない。
なんやかや、3時間の大冒険!
もし、デバイスという道具が無かったら、
決して挑戦できない危険な場所に、
子供たちでもチャレンジできるのである。
最後の崖をのぼり、村にたどりついた所に、
素敵なレストランがあり、
美味しいランチが仕上げでしたとサ。
