そういえば・・・と書き出すのもなんだが、 マッターホルンから降りてきた直後、
手の指10本がしびれていた。
マウンテンバイクのハンドルを握り過ぎたのかな?
と、思い込んでいたら、私を頂上に導いてくれた、
国際山岳ガイドの近藤謙司さんが、
「凍傷ですよ」
「えっ、とうしょう?」
凍傷とは、ヒマラヤなどの高山で発生するものだと、
思い込んでいた。
「軽い凍傷で、しばらく続きます」
というではないか?
「なにも問題はないです」とも言う。
しかし、スマホを指でナゼても、反応しない。
スマホの表面に指を当てると、カチンと音がする。
どうやら、指の先端が固くなっているようだ。
しびれたような感覚は、ずっと続いた。
2週間ほど経ったころ、右手の中指の皮がむけ始めた。
そして、日を追うごとに、次々に皮がむけ、
ひと月後には、10本全部の皮がむけた。
それでも、シビレ感は残っている。
ピアノ演奏にまったく支障なかったので、
気にはならなかったものの、
4478mの山でも、凍傷が起こる事を知った。
たしかに、10時間もの間、マイナスの気温の中、
皮手袋だけで過ごしていた。
ロープを握り、岩をしっかり掴む必要があり、
薄手の手袋が必須だった。
本来その気温なら、スキー用の厚手が必要で、
インナー手袋も要るハズ。
時には、雪の中に手を突っ込み、確保しながら登る。
日陰では、風にさらされ、ブルブル震えていたものだ。
近藤氏も「寒い寒い」を連発していた。
我々が登頂した二週間後、雪が本格的に降り、
真っ白に覆われたマッターホルンの写真が、
現地の方から送られてきた。
なるほど、そういう時期に登ったのだと理解する。
かの山は、冬と春秋しかない山で、
夏が無い。
真夏と思っている我々の目の前で、雪を降らせている。
寒いハズ。
用意ドンの日帰りで登るのでなければ、
本格的な冬用装備でのぞまねばならない。
んで、やっとスマホのスライドができるまでに復活! 前
をリードする近藤氏