「
夕陽の中をマウンテンバイクで」
マッターホルンを下山して、
最後にマウンテンバイクでホテルまで戻った。
朝4時42分にヘルンリ小屋を出発し、
マッターホルン登頂し、
ホテルに帰ってきたのは、夜9時だった。
ということは、自転車だけで2時間漕いでいる。
標高差1000mをマウンテンバイクで降りる。
「あとは降りるだけですからネ」
マッターホルンの頂上から、標高差1900m下山してきて、
さらに自転車こぎ――
「あれれ、あらら、登りがあるじゃないですか」
あとは降りるだけと言った近藤さんにフルと、
「ええまあ、登りもね・・・」
言葉を濁され、近藤氏は、どんどん漕いで先に行く。
とり残されまいと、頑張ってペダルをこぐ。
登ったり下ったり・・・
それも、砂利道である。
スピードを出して見たら、ひっくり返った。
ガッシャ~~~ン。
お互い、ゴープロをヘルメットに装着しているので、
あとで見てみると、見事にズっこっけている。
ヘルメットのおかげで、ケガはなかった。
一応、危険は回避した。
こうして、2時間後ホテルに帰り着いたのである。
どう考えても、筋肉に負担をかけすぎている。
翌日が心配だった。
「筋肉痛に間違いなくなる」
アイシングしなくてはならない。
ところが、ツェルマットの街では、氷を売っていない!
スーパーにもコンビニにも無い!
そこで、ホテルのバスに水を溜めてみた。
この水が、とんでもなく冷たいのである。
下半身を浸けようとしたら、身体全体にオコリがきた。
ブルブルなんてもんじゃない。
目の前が暗くなってきた。
このまま浸け続けたら、風邪をひく。
いや、凍死してしまう。
危険回避が発動され、すぐに熱いシャワーを浴びた。
よって、筋肉に対し、アイシングはできなかった。
という事は、翌日から、ロボットのような歩き方になるのか?
しかして、翌朝、8時間眠って、ガバと起きた。
なんか・・・快調かもしれん。
朝ごはんを食べ、街中を散歩する。
年齢が進むと、翌日ではなく、あさってとか、
しあさってとかにド~~ンと筋肉痛が襲ってくる。
ところが、その後まったく筋肉痛がなかったのである。
理由を考えてみたが、マウンテンバイクのおかげかもしれない。
プロのスポーツ選手は、試合のあとに、自転車をこぐ。
この有酸素運動で、筋肉内の「乳酸」を、
呼吸で体外に排出すると言われている。
15時間山に登り、溜まった乳酸を、
マウンテンバイクを2時間こいだおかげで、
すべて排出したらしい。
その証拠に、その後4日間で、
3つの2000~3000mクラスの山や、
崖に登り続けたのですから―― 夕食はテラスで