三つ峠山荘内
昨日、どこに居たのかと云えば、富士山を望む峠、
三つ峠に、登っていた。
とはいえ、雨がザカザンと降り続けるあいにく。
では、何ゆえにそんな日に、天気こそ大事な、
富士山を見る場所に行こうとしたのか?
三つ峠には、山小屋がある。
中村光吉(みつよし)さんが長い間、きりもりしてこられ、
最近では、息子さんの祐太さんが、活躍しておられる。
光吉さんは絵を描かれている。
私の率直な感想では、
山小屋のご主人が絵を描いているのではない。
絵描きが、山小屋も経営していると言った方が正しい。
この絵が、なんとも明るくて素晴らしい。
基本、富士山が登場するのだが、
あくまでも、光吉さんの心象風景である。
抽象画と言えなくもないが、それより発展した形だ。
その絵を観ると、こころが弾む。
生きている躍動を感じる。
だから、絵の展覧場所でもある三つ峠山荘へ、
足を向ける。
雨が降ろうとでも!
そして、今回、たどり着いた山荘では、一枚の絵が、
すでに梱包されて置かれていた。
「持っていって下さい」
光吉さん本人の言によれば、
《終活》とおっしゃる。
絵をどこかが、もらい受けてくれるならば、
ぜひ寄贈したいのだが、
なんせ、山の上に大量に置いてあるばかり。
少しづつ、放出しているのだそうな。
この小屋は、一年中ひらいている。
なので、一年中目の前に富士山が見える。
その富士を、こころの想いの映像として、
キャンバスに描き留めたご主人。
堂々たる風格をされているので、御年を尋ねてみた。
すると・・・
私と同い年であることが判明した。
昭和28年の7月生まれ、私より4か月早いだけ。
頂いた絵を、帰ってから開いてみた。
光吉さんの絵の中では、静かな絵である。
いま、どこに飾ろうか迷っている。
あまりにも勿体ないので、しばらくの間、
預かっているだけとしよう。 中村光吉氏の描く太陽と山なみ