山に登る為に、レインウエアを持ってゆく。雨が降れば、上下のそれを着る。
ところが、意外なことに登山者が、
傘を持っているのを知っておられよか?
山小屋泊の場合、泊まっている最中に、
あちこち出かける際、傘をさしてゆくのである。
山小屋で傘などと聞けば、違和感を感じるものだ。
「ザックを壱グラムでも軽くしているんじゃないんですか?」
傘を持っていると、いぶかしむ人に質問される。
どんなに軽い傘でも、2~300gはある。
そんなモノ持っていくのは、違反だというお叱りもある。
しかし・・・
雨が降ると分かっている山行の場合、
持っていくケースがある。
今日は風が吹かないと知っている場合である。
傘とは、人類が考え出した、自転車に匹敵する、
名道具である。
片手が犠牲になるが、身体はほとんど濡れない。
平地だろうが山の中だろうが、傘に勝るモノはない。
ガシガシと岩場を登攀しない限りは、
傘は活躍する。
それでも、山の中では違和感がぬぐえない。
「なにも傘を持って来るぐらいなら、来なきゃいいのに」
という事で、傘持参の登山者は、長逗留組が多い。
3泊も6泊も、
山小屋やテント生活する人たちと言ってもいい。
しかしながら、私は今回、1泊に過ぎない。
その上、傘も、昔からある、
真っ黒い大きなコウモリ傘を持って登った。
どうせなら、雨粒を受けない大きな傘にしたのだ。
ヒトが見ると、ランドセルを背負った小学生が、
大きな大人の傘をさしているように見えなくもない。
おかげで、ほとんど濡れずに済んだ。
そして、もうし合わせた訳ではないのだが、
一緒に行った4人のウチ3人(ジジババ)が、
傘をさしていたのである。
あとの一人(若者)は、山の初心者で、
我々(ベテラン)の傘を見て、目を白黒していた。
(いいんかい、傘なんかさして!)