昨日、タオルに書かれた文字に注意を向けた。 《別府温泉保養ランド》
そこは、大分県別府市にある温泉場だ。
温泉の名前は、それっぽいものが多い中で、
ココは、ちと浮ついた名前である。
私のお気に入りの温泉場である。
別名がある。
《泥湯》
日本に泥湯と呼ばれる温泉場が他にもあるが、
おおむね茶色をしており、泥というより、
土の湯であろう。
ところが、別府の泥湯は、白色のドロで、
底に溜まった泥は、手でさぐって持ち上げると、
粘土状になっている。
もし、底がコンクリーでできていなければ、
底なし沼になるだろう。
この泥が体に大変よろしい。
「髪にぬったり、顔にぬったりしないように」
との注意書きがあるのだが、
子供の頃近所に住んでいた私は、
よく塗りまくっていた。
するとどうなる?
肌スベスベになり、髪に至っては、
赤ん坊の髪の毛のようにツヤツヤになる。
(*顔や髪にぬるのは、成分が強すぎるので、
人によってはえらいことになるらしい。
やめた方がよい)
近所に、《坊主地獄》という観光地がある。
いわゆる《地獄めぐり》の一箇所だ。
白濁した泥が、ボグリ ボグリと噴きだしている。
ほぼ同じ泥であろうと思われる。
関東から友人を連れてゆくと、この温泉に招待する。
最初は、白濁の濁りに足をすくませるが、
入浴後はいたく気に入ってもらえる。
「次は家族を連れてきます!」
泥湯には、県外からの観光客が多くないような気がする。
理由は、その名前ではないかと心配している。
温泉場とは、秘湯っぽいものが喜ばれる。
なのに、語尾に「ランド」と付くと、
中でハワイアンダンスかなにかを観るのかと、
勘違いしそうだ。
ある意味、秘湯中の秘湯なのだが・・・